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同学年の浅野翔吾を超える野球センス? 定位置狙う「DeNAの逸材」は

 

センスあふれるバッティング


力強い打撃を披露する松尾


 並外れた野球センスでDeNAの正捕手争いに名乗りを上げたのが、高卒3年目の松尾汐恩だ。今季23試合出場で打率.356、3本塁打、9打点をマーク。正捕手に山本祐大がいるため、「打撃を生かして他のポジションでも起用したほうがいい」という声が上がるほどだ。

 3月30日の開幕3戦目・中日戦(横浜)で今季初スタメンに抜擢されると、1点リードの5回にウンベルト・メヒアのスライダーを左翼席へ運んだ。守備でも先発・平良拳太郎から4投手を好リードで引っ張り、2対1のローゲームで制した。「勝つという強い気持ちで挑めた。自分としてもだいぶ捕手らしくなったという風には思います」と手ごたえを口にしていた。

 2年ぶりに復帰したトレバー・バウアーの頼もしい「相棒」になっている。5月3日の巨人戦(横浜)では、0対0の8回一死一、三塁で決勝打となる左犠飛。守備でも盗塁を3度阻止した。巨人の1試合3盗塁死は14年ぶりだった。9日の広島戦(横浜)は3回に左翼ポール際へ先制の2号ソロ。同点の延長10回には先頭打者で中越え二塁打を放ち、林琢真のサヨナラ打で歓喜のホームを踏んだ。

 16日のヤクルト戦(神宮)はプロ初の4安打で3打点をマーク。5回に右中間へ2点適時二塁打を放つと、7回も無死二塁から右前打で好機を拡大した。1点差に迫った8回にタイラー・オースティンの1号2ランで逆転すると、松尾も貴重な追加点となる左越え3号ソロと5番起用に見事に応えた。

甲子園で通算5本塁打


 捕手に本格的に取り組んだのは大阪桐蔭に進学した1年秋。3年春のセンバツで全国制覇を達成し、夏は準々決勝で敗れたが甲子園で大会通算5本塁打をマークし、同校OBの平田良介(現中日二軍外野守備走塁コーチ)、森友哉(現オリックス)、藤原恭大(現ロッテ)に並んだ。DeNAがドラフト1位で単独指名したことが評価の高さを物語っている。この年のドラフトでは浅野翔吾(現巨人)が高校生No.1野手として注目されていたが、「松尾の野球センスは浅野より上」というスカウト評が少なくなかった。

厳しい自己評価


 開幕一軍を勝ち取った昨年は27試合出場し、ソフトバンクと対戦した日本シリーズ第2戦で安打を放った。順調に階段を駆け上がっているように見えるが、松尾の自己評価は厳しかった。週刊ベースボールのインタビューで以下のように振り返っている。

「昨年からスタメンで出場することを目標にやってきましたが、キャッチャーの層も厚かったですし、その中に自分は入っていけなかったという悔しさをより感じました。今年はその悔しさをかみしめながらやっていますし、絶対に忘れてはいけないと思わされた1年でした。一軍で試合に出場することができ、プロ初安打を放つこともできましたが、それよりもレギュラーとして出場できない悔しさのほうが大きかったです。やはり試合に出場しなければ話にならないので、そこは常に目指してやっていましたし、その悔しさは本当に大きかったです」

「試合に出られなかった要因として、もちろん山本(山本祐大)さんが正捕手の座をつかみ、戸柱(戸柱恭孝)さんや伊藤(伊藤光)さんたちベテラン勢の壁もありましたが、それ以上に自分自身に足りないものがあったのだと思います。いざというときに監督やコーチに『松尾を出そう』と思わせることができなかった。自分がキャッチャーとして実力不足だった。守備の面でたくさん反省した1年でもありました」

「やはりキャッチャーのポジションで試合に出場しようと考えると、打撃だけでは使ってもらえません。しっかり守れるだけではなく、そのうえでピッチャーの信用を勝ち取らなければいけない。具体的に言うのは難しいですが、ドタバタしないで、どっしりとしたプレーを心掛けること。キャッチャーが慌てている姿を見せてしまうと、ピッチャーも投げにくいと思いますし、自分はどんな展開でも常にいろいろな状況を想定し、ピッチャーに『思い切って腕を振ってこい』と言えるくらいの安定感を身につけたいと思います」

 5試合連続でバウアーの登板日にマスクをかぶった5月21日の中日戦(横浜)は、5対6と競り負けた。6回に中前適時打を放ったが、バウアーは6回4失点でリードを反省する思いの方が強いかもしれない。反省を糧に、正捕手の座を目指す。

写真=BBM
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