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岡本和真、村上宗隆の離脱で佐藤輝明が本塁打王の有力候補も…ライバルは「三冠王狙える強打者」

 

打撃3部門でリーグ2位


打線の中心としてチームをけん引する牧


 セ・リーグの本塁打王は岡本和真(巨人)、村上宗隆(ヤクルト)の両主砲が2020年から5年連続でタイトルを獲得してきた。ところが、今年は両選手にアクシデントが。岡本は春先から打率.308、8本塁打、25打点と好調だったが、5月上旬に左肘の靭帯損傷で長期離脱する事態に。村上も上半身のコンディション不良で開幕二軍スタートとなり、復帰戦となった4月17日の阪神戦(神宮)で故障を再発。実戦復帰のメドが立っていない。

 両選手が不在の状況で、本塁打を重ねているのが佐藤輝明(阪神)だ。52試合出場で打率.284、13本塁打、37打点。中堅から逆方向のアーチが増え、好不調の波が少なくなっている。3、4月に9本塁打を積み重ね、5月は月間打率.323、3本塁打をマーク。本塁打のペースは落ちたが、安打が出ており打撃の状態は悪くない。今月に入り、6月1日の広島戦(マツダ広島)で2点リードの8回二死一、二塁でフルカウントから塹江敦哉のスライダーを一振り抜くと、打球は右翼席へ。打った瞬間に本塁打と分かる確信弾を放った。交流戦でも打棒爆発が期待される。

 プロ入り初の本塁打王を狙えるか注目される中、本塁打を量産して佐藤輝を追いかけている選手がいる。牧秀悟(DeNA)だ。3、4月は月間打率.267、3本塁打と状態が上がってこなかったが、5月は月間打率.343、7本塁打をマーク。広角に長打が出ているのが好調の証と言える。5月31日のヤクルト戦(横浜)では3試合連続アーチ。8回に佐野恵太が右翼席へ勝ち越しソロを放った直後、小澤怜史の107キロカーブを完璧に捉え、バックスクリーンに運んだ。この一撃で球団史上3人目の新人から5年連続2ケタ本塁打達成。19試合連続安打を記録し、打率.303、10本塁打、36打点と打撃3部門でいずれもリーグ2位の好位置をつけている。

総合力の高さが魅力


 佐藤輝がホームランアーチストに対し、3本差で追いかける牧の魅力は総合力の高さだろう。コンタクト能力が高く、長打を飛ばせる。大きな故障がなく、新人から主力としてグラウンドに立ち続けている。

 新人の21年に打率.314、22本塁打、71打点の好成績を残し、1986年の清原和博以来となる新人で3割20本塁打を達成。2年目から四番に抜擢されると、23年は開幕前に侍ジャパンに選出されてWBCで世界一に貢献した。シーズンでも自身初の全143試合に出場し、打率.293、29本塁打、103打点で打点王と最多安打(164)のタイトルを獲得。「頼れる方が周りの打順を打っていてくれたおかげだと思います。特に宮崎(宮崎敏郎)さんは今季、首位打者も獲得されましたし、シーズンの最初から最後まで安定した打撃でチームを支えてくれていました。個人としても心の寄りどころにさせてもらっていました。自分がもしダメでも打ってくれると思っていたから思い切って打ちに行けた部分はとても大きかったですね」と感謝の思いを口にしていた。

「最強助っ人と重なる」


ベイスターズの“歴代最強助っ人”と称されるローズ


 主将に就任した昨年はレギュラーシーズン3位からCS、日本シリーズを勝ち抜く下克上で日本一に貢献した。

 球団OBは「牧を見ていると、ロバート・ローズと重なります。勝負強い打撃で広角に長打を打てるし、弱点がないので相手バッテリーは抑えるのが難しいでしょう。守備位置も同じ二塁。まだまだ伸びしろ十分ですし、三冠王を獲得できる選手だと思います」と期待を込める。

 ローズは「球団史上歴代最強助っ人」の呼び声が高い。1993年に横浜(現DeNA)に入団当初は「守備の人」という触れ込みだったが、いきなり打点王を獲得。その後は四番で活躍し、98年に38年ぶりのリーグ優勝、日本一の原動力になった。圧巻は翌99年だった。打率.369、37本塁打、153打点で首位打者、打点王、最多安打(192)を獲得。来日通算打率.325、167本塁打、808打点をマークした。

 牧は27歳と経験を積み重ね、これから全盛期に入る。ローズのような強打者になる可能性は十分に秘めている。佐藤輝の存在も大きな刺激になるだろう。大卒の同期入団で切磋琢磨し、親交が深い。球界を盛り上げるためにも、二人の強打者のタイトル争いの動向が注目される。

写真=BBM
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