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ファーム調整の田中将大に復活の予感 「今季中に通算200勝達成」期待が

 

568日ぶりの白星をマーク


今季から巨人でプレーする田中将


 もう一度、はい上がる。ファームでアピールを続けているのが巨人の36歳右腕・田中将大だ。

 6月1日にイースタン・リーグのDeNA戦(平塚)で、3回1安打無失点の快投。2回無死から中前打で唯一の走者を許したが、後続を打ち取り危なげない投球だった。5月24日のイースタン・西武戦(Gツタウン)も6回6安打1失点と好投し、最速146キロを計測して5三振を奪った。直球に伸びがあるから、決め球の変化球が生きてくる。3つの三振が縦に鋭く落ちるスプリットだった。初回二死一塁では村田怜音を内角の142キロカットボールで詰まらせ、バットをへし折る三ゴロ。打者の懐を果敢に突けたことが状態の良さを物語っている。5月2日にファーム降格後はファームで3試合登板し、計12回を投げて防御率1.50。結果だけでなく、投球内容も順調にステップアップしている。

 昨年はプロ18年目で初の未勝利に終わり、楽天を退団して巨人に移籍。数多くの名投手を育てた久保康生巡回投手コーチのサポートの下で投球フォーム改造に乗り出した。横振りだった体の使い方を縦振りにすることで、角度がついた球威十分の直球を取り戻す。狙いは明確だった。移籍後初登板となった4月3日の中日戦(バンテリン)は、5回5安打1失点の粘投で586日ぶりの白星をマーク。日米通算198勝目を挙げた。「本当に今日は勝たせていただいた1勝。でも、自分にとっても今日のこの1勝っていうのはものすごく特別ですし、色々な思いがあって勝つことができて本当にうれしく思います」とかみしめていたが、その後は試練が続く。

 2試合目の登板となった4月17日のDeNA戦(東京ドーム)は2回7安打6失点と序盤に打ち込まれて黒星。2週間の調整期間を経て登板した5月1日の広島戦(東京ドーム)も、早々とつかまった。初回に5連打を浴びて3失点。2回、3回は得点圏に走者を背負い追加点は許さなかったが、3回8安打3失点でマウンドを降りた。直球が走らず、制球も甘いため苦しい投球になる。打線が奮起して追いついてサヨナラ勝ちを飾ったが、ファームで再調整が決まった。

カギは『スピード』の復活


 昨年まで阪神で指揮をふるった岡田彰布氏は、開幕前に田中将の復活について週刊ベースボールのコラムで以下のように分析していた。

「キャンプで久保(久保康生)巡回投手コーチとのマンツーマンで取り組んでいた。久保コーチとは監督-投手コーチとして阪神時代にいろんな思い出があるけど、果たしてマー君再生はなるのかどうか。カギはやっぱり『スピード』の復活だろう。コントロールがいい、といっても、これはスピードがある程度あっての話。昨年の映像を見る限り、田中のストレートのスピードでは厳しい……と思った。基本であるストレートが元の姿に近づけるかどうか。阿部(阿部慎之助)監督は起用法を考えているだろうが、まずはそこをクリアしないと、阪神としては怖がることはないとみている」

一軍先発の枠を目指して


 クレバーな投手なので、一軍で登板した3試合を通じて取り組むテーマを理解していただろう。投球フォームを固めると共に、投球の出力を上げて制球力を取り戻す。ファームで好投を続ければ、一軍で再び登板機会を与えられるチャンスは十分にある。現時点で先発ローテーションが確定しているのは山崎伊織フォスター・グリフィン井上温大赤星優志。本来ならエースの戸郷翔征が核にならなければいけないが、8試合登板で1勝4敗、防御率5.68とピリッとしない。堀田賢慎西舘勇陽と共に残りの枠を目指すことになる。

 田中将は巨人の入団会見で、「(日米通算200勝まで)残り3勝というところをフォーカスされるけれど、自分としては3勝で終わる気持ちはありませんし、一つでも多くチームのために勝利に貢献したいと思っています」と新天地にかける意気込みを語っている。

 交流戦で慣れ親しんだパ・リーグの球団相手の復帰登板を飾るか。首位を快走する阪神に食い下がるためにも、ベテランの力が必要だ。

写真=BBM
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