セ最下位ヤクルトに負け越し

交流戦は中日に対して3連勝でスタートしたが……
ソフトバンクが波に乗り切れない。得意の交流戦で1カード目の中日に同一カード3連勝を飾ったが、セ・リーグの最下位に低迷する
ヤクルトに1勝2敗と負け越した。
投打で主力の不振や故障が苦戦の原因になっている。ヤクルト戦の1戦目は
リバン・モイネロが8回3安打18奪三振無失点と完ぺきな投球を見せたが、9回に登板した
ロベルト・オスナが
ホセ・オスナに同点2ランを被弾。延長10回に
松本裕樹が
武岡龍世にサヨナラ弾を浴びた。オスナは今季22試合登板で3勝1敗8セーブ5ホールド、防御率4.09。安定感を欠いているのが気がかりだ。
小久保裕紀監督が就任1年目の昨年はシーズン91勝、貯金42と圧倒的な強さで4年ぶりのリーグ優勝を飾ったが、今年は3、4月に9勝15敗2分けで最下位に低迷。
近藤健介、
柳田悠岐、
周東佑京、
今宮健太、
正木智也と故障者が続出し、
山川穂高、
栗原陵矢の打撃不振も悩みのタネとなった。
活躍を見せる“代役選手”

打率.356でパ・リーグトップを走る柳町
だが、5月は
中村晃、
柳町達、
野村勇の活躍が光り、巻き返しを図る。投手陣も安定感を取り戻したことで、月間成績15勝8敗と勝ち越して借金を完済した。柳町は開幕二軍スタートだったが、4月1日に一軍昇格すると19試合連続出塁をマークするなど、打率.356、3本塁打、24打点をマーク。得点圏打率.472と圧巻の数字を残している。ソフトバンクは外野の定位置争いが熾烈だ。柳町は2020年に球団新人野手で14年ぶりの開幕一軍でスタートし、22、23年と2年連続100試合以上したが、昨季は73試合出場にとどまった。
柳町は「いやー、もう、(心が)折れ過ぎたんで、今は別に(苦笑)。プロに入ってから、折れる時期なんて本当にたくさんありました。それを乗り越えてきて、じゃないですけど、今はそこまで深く考えないようにしています」と週刊ベースボールのインタビューに胸中を明かした上で、主力に故障者が続出した春先を以下のように振り返っていた。
「本当にすごい選手たちばかりなんでね。厳しい勝負の場面では、やっぱりいてくれたらな……と思うときもありますよ。でも、今いるメンバーでやるしかないんで。いないからこそ、チャンスだと思っている。それは若い選手たちだけに限った話ではありません。もう、僕たちが結果を出すしかないですから」
「戻ってきたときのことは、正直、考えていません。今に集中している。しいて言えば、主力の方々を焦らせないように。今いるメンバーで十分できることを示して、安心させるような試合ができたらなと思っています」
間違いなく地力があるチーム
昨年の戦いぶりと比べると苦戦している印象がぬぐえないが、数字を見ると十分に優勝を狙える位置につけている。貯金2で首位・
日本ハムと2.5ゲーム差の3位。周東、近藤、今宮と故障で離脱した選手たちが続々と復帰している。他球団のスコアラーは「戦力の厚みで言えば、ソフトバンクが他球団を圧倒している。柳町、野村勇は主力が復帰してもレギュラーを張れる実力者ですし、
甲斐拓也がFAで流出した捕手も
嶺井博希、
海野隆司、
渡邉陸の3人体制でうまく回るようになっている。地力があるチームですし、最も怖いチームであることは間違いありません」と警戒を強める。
近藤は開幕前のインタビューで、「今年一番大きいのは、やっぱりキャッチャーが変わったというところかなと思っていて、そこには当然、若い選手が出てくる可能性も高いです。そういう中でのミスだったりは、出ているレギュラーがカバーをして強くなっていけばいいんじゃないかなと。昨年とはまた違うチームになっているので、一概に昨年足りなかったもの=今年必要なものというわけでもないのかなと思いますね。今年は今年で、今のチームで、最高のホークスになっていけばいいんじゃないかなと思います」と語っていた。
スタートダッシュに失敗したが、きっちり立て直した。昨季本塁打、打点の2冠に輝いた山川、栗原がスタメンを外れるなど、実績のある選手たちが定位置を保証されていないのは、チーム力が底上げされている証だ。交流戦は12球団で最多となる8度の優勝を飾っている。上昇気流に乗れるか。
写真=BBM