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大阪桐蔭高で3年時に八番打者も…首位打者狙える「巨人のチャンスメーカー」は

 

打撃の確実性が向上


今季、打撃で急成長を見せている泉口


 巨人の野手陣の中でMVP級の活躍を見せているのが、プロ2年目の泉口友汰だ。

 6月14日のオリックス戦(京セラドーム)で1点差を追いかける8回二死二塁の好機に、宮城大弥の直球を左前にはじき返す同点適時打。延長戦の末にチームはサヨナラ負けを喫したが、7回まで散発3安打10三振無失点と抑え込まれていた宮城から意地の一打を放った。

 今年は開幕を二軍で迎えた。遊撃のレギュラー最有力候補は門脇誠だったが、この序列をひっくり返す。4月4日に一軍昇格すると、「八番・遊撃」でスタメン出場した9日のDeNA戦(横浜)で7回に浜地真澄から右翼ポール際に1号ソロを放った。その後はスタメン起用が急増し、広角に安打を量産。粘って四球で出塁するなど貢献度が高い。5月下旬に打率.264まで下降した時期があったが、再び上昇気流に乗る。6月4日のロッテ戦(ZOZOマリン)で3試合連続マルチ安打をマークし、打率を.306でリーグトップの打率に初浮上した。

 他球団のスコアラーは「もともと選球眼が良い打者でしたが、確実性が上がったことにプラスして打球に力強さが増している。打撃スタイルがかつて首位打者を獲得した川端慎吾(ヤクルト)と重なります。正直、昨年からここまで伸びるとは想定していなかったですね。厄介な打者ですよ」と警戒を務める。

チャンスメーカーとしての役割


 大阪桐蔭高では2年秋からベンチ入りと、下級生の時から日の当たる野球人生を歩んできたわけではない。3年春にセンバツで全国制覇を飾ったが、当時は八番打者。1学年下の藤原恭大(現ロッテ)、根尾昂(現中日)、柿木蓮(元日本ハム)が中心選手だった。当時は「守備職人」の印象が強かったが、青学大、NTT西日本とアマチュア球界の強豪を渡り歩き、打力を磨いた。ドラフト4位で入団した昨季は66試合出場で打率.201、1本塁打、1盗塁。スタメンで起用されていた時期があったが、攻守でまだまだ課題が多かった。

 高いレベルの環境で試練を味わい、対応力を磨く。泉口はこの能力が高いのだろう。昨オフは岡本和真の自主トレに弟子入り。「スイングの力を上げることを目標にトレーニングもたくさんしてきた」と、今年2月の春季キャンプでは打撃で飛距離が明らかに伸びていた。

 パワーを身につけたが、自身の求められている役割を理解している。チャンスメーカーとして塁に出ることにこだわり、出塁率.359はリーグ2位。得点圏打率.359と勝負強さを評価され、クリーンアップで起用された時期もあった。

チームで不可欠な存在へ


2015年に打率.336で首位打者に輝いた川端


 期待以上の成長曲線を描く泉口は、他球団のスコアラーが指摘するように川端と重なる部分がある。2015年に打率.336で自身初の首位打者に輝くなど、球界を代表する安打製造機として活躍。当時は週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。

「何回かバッティングの状態がヤバいなっていうときはあったんです。ですが、そういうときにポンってラッキーな内野安打が早めに出てくれたので、それが大きかったかなと。そういう状態のときはなんでもいいからヒットが出ると、体が軽くなるというか、次の打席からスッと打席の中で力が抜けるんですよね」

「自分の感覚ですけど、明らかにとらえたと思ったのが、全然とらえられていないとか。自分でも分かるくらい、上半身と下半身がバラバラだなとか。一緒にパンって回れている感覚がないんですよね。先に足が回ってから上体が後から回る、みたいな。そういう自分の中の感覚で『ああ、全然違うな』と。そういうときがあるんですよね」

 卓越したバットコントロールで主軸として長年稼働し、その後は代打の切り札として活躍している。泉口も攻守でチームの不可欠な存在を目指し、安打を積み重ねる。

写真=BBM
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