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トレード移籍の最高傑作の可能性 大活躍の秋広優人「お手本の強打者」とは

 

3試合連続のお立ち台


6月13日からのDeNA3連戦すべてでお立ち台に上がった秋広


 ソフトバンクのユニフォームがすっかり似合っている。巨人から移籍した秋広優人が新天地で躍動している。

 同一カード3連勝を飾ったDeNA3連戦の活躍は圧巻だった。6月13日の初戦で4回二死二、三塁の好機で左腕・ケイのツーシームに食らいつくと、高いバウンドの打球は左前に抜ける先制の2点適時打。移籍後初適時打が決勝打となった。翌2戦目は2回二死で大貫晋一のスライダーを振り抜くと、ライナー性の打球は右翼テラス席へ先制アーチ。2023年7月23日のDeNA戦以来692日ぶりの一発が決勝弾になった。

 活躍は続く。15日は1点差を追いかける8回無死二、三塁でフルカウントからウィックの直球を中前にはじき返す同点適時打。逆転勝利の呼び水となる一打となり、巨人時代に経験したことがなかった自身初の3日連続でお立ち台に。ファンの大歓声を浴び、身長2メートルの長身がさらに大きく見える。「前の打席もチャンスでやられてしまいましたし、コンさん(近藤健介)と晃さん(中村晃)がつないでくれたチャンスだったので何とかしたいと思って。追い込まれていたんですけど抜けてくれて良かったです」と安どの表情を浮かべた。

 高卒3年目の23年に121試合出場で打率.273、10本塁打、41打点をマーク。巨人の未来を背負う逸材として期待されたが、阿部慎之助監督が就任した昨年は24試合出場と激減。春先から打撃の状態が上がらず、試行錯誤を繰り返した。今年も開幕をファームで迎え、5月3日に一軍昇格したが5試合出場で打率.143、0本塁打とアピールできず。一軍登録されていた12日にリチャードとの交換トレードで、大江竜聖と共にソフトバンクへ電撃移籍した。

コンタクト能力の高い好打者


 長距離砲として期待が大きい秋広だが、本人は2ストライクに追い込まれても空振りしないコンタクト能力に自信を持っている。ソフトバンクは良きお手本になる打者が多い。その筆頭格といえるのが、近藤だ。

 日本ハム時代は巧打者として広角に安打を飛ばし、19、20年に2年連続最高出塁率のタイトルを獲得。22年オフにソフトバンクに進化すると、長打力も兼ね備えた強打者に進化した。23年に打率.303、26本塁打、87打点で本塁打、打点の2冠に。日本ハム時代は21年の11本塁打が自己最多だった。

 近藤は本塁打を量産した理由について、「一番はやっぱり、(ホームランテラスのある)PayPayドームになったところだと思いますね(笑)。正直、そこはすごく感じています。とはいえ、それだけではなくて、やっぱり継続してきたからこそ。長打率を求めるといっても1年やってすぐにできる、結果が出ることでもないと思うので。3年前、東京オリンピックのころぐらいから、自分が思って取り組んできたことが今、ちょっとずつ形になっているのかなと思います」と週刊ベースボールのインタビューで語っている。

ソフトバンク打線に欠かせない存在の近藤


 このシーズンは5月終了時点で打率.247、5本塁打、25打点と本来の状態ではなかったが、6月は月間打率.342、6本塁打、17打点ときっちり修正した。「5月ぐらいまでは、打球の角度を高くというイメージを持っていたんです。それを、もう少しライナー性のイメージをするようになってから、いい方向にいった。一概に弾道を上げるとかじゃないんだ、というのも分かりました。やっぱり、強い打球を打っていくというのがヒットにつながる。その延長線でホームランにもつながったのかなと」と振り返っている。

 昨年は打率.314、19本塁打、72打点で自身初の首位打者に。長打力が格段に上がったが、持ち味の確実性は失われていない。2年連続4度目の最高出塁率に輝き、4年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。

 体格は違うが、秋広が目指す理想形の打撃が近藤と重なる。打率3割、長打率4割を常時クリアし、甘く入った球をきっちりスタンドに運ぶ。22歳という年齢を考えると、無限の可能性を秘めている。巨人で23年に輝いた姿を取り戻すのではなく、さらにバージョンアップしてリーグ連覇の力になる。

写真=BBM
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