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甲斐拓也が正捕手争いで正念場 巨人で「勝てる捕手」の真価発揮できるか

 

FAで移籍し、今季から巨人でプレーする甲斐


6月は岸田の起用が増


 首位・阪神を追いかける巨人が、交流戦最後のカードとなる西武戦で勢いがつく勝ち方を見せている。

 6月20日の初戦は今季初のスタメンマスクをかぶった小林誠司が決勝打。2戦目は2点差を追いかける展開になったが、7回から登板した甲斐野央に襲い掛かる。岡田悠希の中越2点適時二塁打で同点に追いつくと、代打・増田陸が左翼席に5号3ランをたたき込んで一挙5得点。鮮やかな逆転勝利で交流戦2度目の連勝を飾った。

 5月下旬に貯金が6あったが、その後は下降線をたどり借金生活に入った時期が。再び上昇気流に乗るため、捕手の起用法に変化が見られた。開幕から甲斐拓也が正捕手で出場し続けていたが、5月以降は岸田行倫の先発マスクが増えるように。6月は岸田がチーム最多の10試合、甲斐が6試合、小林が1試合でスタメン出場している。

 昨年は岸田、小林、大城卓三の捕手3人体制で4年ぶりのリーグ優勝に輝いた。それぞれの捕手が持ち味を発揮していたが、巨人は補強に動いた。常勝軍団を築いたソフトバンクで扇の要を務めた甲斐をFAで獲得。現役時代に阿部慎之助監督が背負った背番号「10」を託したことが、期待の大きさを物語っていた。

大物OBが指摘していたこと


 球団OBで野球評論家の堀内恒夫氏は「FAで甲斐を獲得することによって、確かに捕手陣は層の厚みが増した。新戦力を迎えるのは悪いことではない。だが、1人入ったことによって、昨季一軍でマスクをかぶった経験のある捕手が、今季は5人にも及ぶ。甲斐を筆頭に小林誠司、大城卓三、岸田行倫、山瀬慎之助の名前が挙がる。阿部慎之助監督は甲斐に、自らが現役時代に着けていた背番号10を与えた。それでも甲斐のことを『正捕手候補』などと言っているが、大型契約で連れてきた大物だけにケガでもしない限り正捕手として使わなければ周囲は納得しないだろう」と週刊ベースボールのコラムで指摘していた。

 重圧が掛かるが、それを力に変える。3月28日の開幕戦・ヤクルト戦から大活躍で勝利に貢献した。移籍後初打席となった2回に右前打を放つと、9回、10回でも先頭打者で安打を放ち、同点劇とサヨナラ勝ちの起点に。翌29日も4回に左越え1号2ランを放つなど2試合連続猛打賞の大暴れ。先発予定のフォスター・グリフィンが発熱のため回避し、緊急登板となった赤星優志を好リードで無失点に導き、「ジャイアンツでヒーローインタビューに立ってグラウンドを一周できるっていうのはちょっと震えましたね」と試合後に充実の表情を浮かべていた。

誰よりも強い勝利への執着心


 好調の打撃を買われて五番に抜擢されるなど攻守の軸として活躍し、3、4月は打率.316、2本塁打、9打点をマーク。5月は打率.196、1本塁打、2打点と快音が止まったが、優先されることはチームの勝利だ。

 6月に入って先発マスクが減り、先発マスクをかぶった5試合でチームは全敗。もちろん、甲斐だけの責任ではないが、勝利への執着心が誰よりも強いだけに悔しさをかみしめていただろう。巨人移籍後に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。

「キャッチャーとしていくら優れていても、やっぱり2位だったら意味がないんで。優勝すれば、キャッチャーというのはそれ以上ないくらいの達成感がある。だから最初に言ったように、すごくやりがいがあるポジションなんです。1位と2位というのは僅差ではない、すごく差がある。優勝しないと意味がないし、そのために143試合を戦っている。やっぱり『勝って評価されるポジション』というのも本音ですし、本当に大変なポジションだと思っています」

 理想の捕手像を聞かれると、偉大な先輩の名前を挙げている。

「ジャイアンツに移籍してきたからそう言ってると思われるとイヤなんですけど、やっぱり阿部さんじゃないですか。打っても守ってもチームに貢献することができて、優勝もされている。阿部さんだったり城島さん(城島健司、現ソフトバンクCBO)だったり、打って守って試合に出続けて、その中でチームを優勝させるというのが理想じゃないですかね」

 リーグ連覇を目指す上で、甲斐は不可欠な戦力だ。岸田、小林、大城とハイレベルな正捕手争いを繰り広げることが。チームに大きなプラスアルファをもたらすことは間違いない。

写真=BBM
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