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楽天に途中加入のゴンザレスに爆発の予感 他球団から「日本向きの強打者」警戒が

 

癖のないスイング


シーズン途中に楽天に入団したゴンザレス


 交流戦を9勝8敗1分けで終えた楽天。パ・リーグは全球団が貯金を稼いだため、上位4チームに離される形になったが、勝負はここからだ。首位・日本ハムと7.5ゲーム差。優勝争いに加わるため、救世主として期待が大きいのが途中加入のオスカー・ゴンザレスだ。

 2022年にガーディアンズでメジャーデビューを飾り、91試合出場で打率.296、11本塁打、43打点をマーク。その後はヤンキース、パドレスを渡り歩いた。メジャーに定着できなかったが、マイナー通算で105発をマークしている。長距離砲が補強ポイントの楽天が白羽の矢を立てた。

 6月10日の中日戦(山形)から合流すると、12日の同戦で右翼席へ来日初アーチ。14日の阪神戦から(楽天モバイル)から7試合連続安打を放ち、4試合でマルチ安打と広角に快音を響かせている。チームも引き分けを挟んで7連勝と息を吹き返した。日本の野球に適応する時間が必要な中、11試合出場で打率.271、2本塁打、8打点は上々の数字だ。

 ゴンザレスの加入が打線に与える影響は大きい。中軸を打つ浅村栄斗に負担が掛かっていたが、相手バッテリーのマークが分散されることで浅村の状態が上がってきている。他球団のコーチは「ゴンザレスは右方向に強い打球が打てるので外角一辺倒の配球というわけにはいかない。スイングに癖がなく、変化球にも対応している。日本向きの打者だと思います」と警戒を強める。

途中入団で本塁打王


 シーズン途中に加入した助っ人外国人が覚醒したケースは過去にあった。西武で7年間プレーし、来日通算142本塁打をマークしたエルネスト・メヒアは代表的なケースだろう。14年の5月上旬に入団会見を行うと、106試合出場で打率.290、34本塁打、73打点をマーク。チームメートの中村剛也と共に本塁打王を獲得した。シーズン途中入団で本塁打王を獲得したのは史上初の快挙だった。

 メヒアは当時の週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「自分自身にとって、すごく興味深いシーズンでしたね。今年シーズンが始まったときはまだアメリカにいて、そのときはまずそこでの目標を立てていたわけだけど、それが日本に来ることになって、新しい目標、周囲からの期待はどんなものなのか……そんなことをすべて考え直す必要があったんだ。あらためて振り返ると、成績自体は残せたんじゃないかと思うけれど、相手チームのこと、ピッチャーのことなど、まだ学んでいることは多いですね。ただ、その中でも僕自身は成功したいという気持ちが強かったので、1試合1試合、かなり集中していたと思う。いい結果を残せた一番の要因は、集中力じゃないかな。日本の野球はハイレベルだし、選手は練習熱心だし、探究心も旺盛。僕自身、日本の生活にも慣れてきたし、日本の野球も好きなので、できるだけ長く、何年間もここでプレーしたいと思っています。まあ、総括としては、いい1年だったと思うよ」

日本で成功したい思い


2014年、シーズン途中に西武に入団して本塁打王に輝いたメヒア


 印象的な姿がある。このシーズンの最終戦で中村が代打で34号を放ったとき、メヒアが誰よりも喜んでいた。その理由について明かしている。

「あのときっていうのは、ナカムラさんはケガもあって、ずっと僕らほかの選手とは別メニューで、6日間バッティング練習をしていなかったんだ。それなのに……あんなことが起きたから、本当に信じられないくらいびっくりして。だって、ピンチヒッターで出ていって、それも初球を振って、ホームランだなんて!ほんとすごい、信じられないって思ったんだ。これまで一緒にプレーしてきた選手、見てきた選手の中でも偉大なパワーヒッターだよ。ほんと、味方で良かったよね(笑)。僕らが同じチームでホームランキングを競い合えたっていうのが良かった。例えば、試合によってどちらかが活躍できなかった日でも、お互いを補い合えた。本塁打競争という意味では競い合っていたけれども、チームメートとして一緒にプレーできたということがチームにとっても、僕自身にとっても大きかったと思う。あの瞬間っていうのは、僕は一生忘れないと思う。将来、自分の子どもにも『ナカムラっていう選手がいて、代打で初球を振ってホームランにしたんだ。それで僕と本塁打王を取ったんだよ』って話したいね」

 ゴンザレスも日本で成功したい思いは誰よりも強く、フォア・ザ・チームの精神を見せている。14日の阪神戦(楽天モバイル)でサヨナラ勝ちを飾った際は、殊勲打を放った石原彪のもとに駆け寄り喜びを爆発させていた。楽天はメジャー通算95本塁打のルーク・ボイトの獲得も発表している。強力打線に生まれ変わり、一気に上昇気流に乗りたい。

写真=BBM
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