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リーグ最多のQS数も“リーグワーストの黒星” 奮闘する「広島の右腕」は

 

防御率2.30と好投も……


チーム状況も相まって今季は勝ち星がなかなか伸びない森下


 広島が苦境から抜け出せない。7月30日の阪神戦(甲子園)で0対5と今季15度目の完封負けを喫し、借金はワーストの11に。7月は3勝16敗3分けの大失速で、最下位・ヤクルトが4.5ゲーム差に接近してきた。

 投打がかみ合わない戦いが続く中、今季初の開幕投手を務めた森下暢仁も白星が伸びない。後半戦最初の登板となった26日の巨人戦(マツダ広島)で6回まで1失点の力投。だが、7回途中に右手中指にマメができた影響で降板した。継投した中崎翔太リチャードに勝ち越しの適時二塁打を許し、森下に黒星がついた。

 18試合登板で5勝11敗、防御率2.30。リーグワーストの負け数だが、防御率が示すように投球内容は安定している。3失点以上奪われたのは2試合のみ。クォリティースタート(先発投手が6イニング以上投げ、かつ自責点を3点以内に抑える)はリーグ最多の16度をマークで、ハイクオリティスタート(先発投手が7イニング以上投げ、かつ自責点を2点以内で抑える)もリーグ最多タイの12度を記録している。

求められる高いハードル


 森下に求めるハードルは高いことも事実だ。開幕投手を務め、中6日の登板で回ると相手のエース級との投げ合いになる。投手戦が続く中で踏ん張り、チームに白星をもたらすのがエースの仕事だ。森下も自覚している。5月下旬に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「3勝した試合も全部、大量得点してもらって勝っているので。勝つチャンスを与えてもらっていると思いますし、そのリズムで自分も投げれば、まだまだ野手も点を取ってくれるんじゃないかなと思うので、お互い、いいリズムをつかむきっかけになるというか、気持ちを楽に投げさせてもらえます。ただ、最少失点で自分が勝ちゲームを取れてないのがちょっと、チームに対して、勝てる試合を落としているなっていうところもあります」

背番号「18」の重み


広島時代、背番号「18」を着けて通算97勝をマークした前田


 突き抜けた存在になってほしい。「引っ張ってみろ、やってみろ」と開幕投手に指名した新井貴浩監督の期待は大きい。ドラフト1位で入団した1年目の2020年に10勝3敗、防御率リーグ2位の1.91で新人王を受賞。21年の東京五輪で侍ジャパンのメンバーとして金メダル獲得に貢献した。22年はリーグ最多の178回2/3イニングを投げて10勝をマーク。昨年は23試合登板で10勝10敗、防御率2.55を記録した。プロ5年間で3度の2ケタ勝利は立派な数字だが、シーズン最多が10勝は、森下の能力を考えれば物足りなさを感じる。15勝をクリアして貯金を2ケタ近く作るのが、絶対的エースだ。背番号「18」の重みを理解しているからこそ、責任感は強い。

「まさかこうやって、背負わせてもらえるとは思っていませんでした。こういう番号を着けさせてもらったことによって、マエケンさん(前田健太、現カブス、2008〜15年に広島の背番号18)との自主トレもさせてもらいましたし、入団のときの監督が佐々岡さん(佐々岡真司、1990〜2007年に広島の背番号18)だったこともあって。まだまだ、勝ち数といったところで、お二方には全然及ばないと思いますし、自分がもっと頑張って、『18番を着けて良かったな』と思えるようなことができたらなと思っています」

 前田と共に広島でプレーしたことはないが、自主トレを共に行って投球技術、野球に向き合う姿勢などを吸収してきた。「マエケンさんは日本でもそうですし、アメリカでも10年近く野球をやられています。結果を残して野球をやり続けられているのが、やっぱりすごいこと。お手本になる存在の人と練習ができたので、少しでも、自分も近づいていけたらという思いはありますね」と語っていた。

 前田は広島時代に2度の最多勝に輝くなど、6年連続2ケタ勝利を挙げて97勝をマーク。メジャーでも68勝を積み上げている。森下も球界を代表するエースになれるか。チームの巻き返しに向け、ここからが正念場だ。

写真=BBM
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