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ビシエドがDeNA入団で輝き取り戻す? 「広角に鋭い打球」で他球団が警戒

 

シーズン途中に電撃加入


7月にDeNAでNPBに復帰したビシエド


 DeNAが大黒柱抜きで、夏場以降を戦うことになった。上半身のコンディション不良で8月1日に登録抹消された牧秀悟が、「左MP関節尺側側副靱帯修復術」を都内の病院で行ったことが7日に発表された。長期離脱は必至な状況で、CSでの一軍復帰が現実的な目標になる。

 牧は今季93試合出場で打率.277、16本塁打、49打点をマーク。主将、四番としてチームを引っ張ってきた。抜けた穴は大きいが全員でカバーするしかない。大きな期待が掛かるのが、シーズン途中に電撃加入したダヤン・ビシエドだ。

 昨年まで中日でプレーしたビシエドはメキシカン・リーグを経て、7月にDeNAに入団。29日のヤクルト戦(横浜)から一軍昇格すると、「六番・一塁」で移籍後初スタメン出場した8月2日のDeNA戦(東京ドーム)で即座に結果を出した。今年の対戦成績は0勝3敗、防御率0.00と完ぺきに抑え込まれていたフォスター・グリフィンから、初回二死三塁の好機で高めの直球を左中間にはじき返す適時二塁打。二塁の塁上で満面の笑みを浮かべると、ガッツポーズを見せた。7回もカイル・ケラーのカーブを逆方向に運ぶ二塁打。マルチ安打の活躍でチームの勝利に貢献した。

中日で9年間プレー


 一塁の定位置を保証されているわけではない。同じくシーズン途中に加入したマイク・フォードと併用で、昨年首位打者に輝いたタイラー・オースティンも復帰。ビシエドは難しい調整となるが、与えられたチャンスで全力を尽くす。3試合ぶりのスタメン出場となった7日の広島戦(横浜)では1点を先制し、さらに一死一、三塁の好機で7球粘った末にフォークに食らいついた。ボテボテの打球が投手・森翔平の野選を誘って2点目を追加。「H」のランプがともらなくても、試合の主導権を握る大きな一打だった。7回は岡本駿の148キロ直球を鋭く振り抜き、右中間フェンス直撃の二塁打。他球団の首脳陣は「ビシエドの持ち味である広角に長打を飛ばす打撃スタイルは錆びついていない。内角にもきっちり反応できていますし、コンディションが良いのでしょう」と警戒を口にする。

 中日時代の9年間で積み上げた実績は申し分ない。18年に打率.348、178安打で首位打者、最多安打を獲得。NPB通算958試合出場で打率.286、139本塁打、549打点をマークした。23年に国内FA権の取得条件を満たし、昨年は日本選手扱いとなったが、来日後最少の15試合出場にとどまった。ウエスタン・リーグで打率.300、8本塁打、31打点と好成績を残したが、退団が決定した。NPBでの現役続行を熱望していたが叶わず、メキシカン・リーグのドスラレドス・オウルズでプレー。38試合出場し、打率.276、8本塁打をマークしていた。

NPBで監督も務めたラミレス


NPBで13年間プレーし、DeNAで監督も務めたラミレス


 日本球界で複数球団を渡り歩き、活躍した外国人選手の代表格がアレックス・ラミレス氏だ。ヤクルト、巨人、DeNAで13年間プレーし、本塁打王2度、打点王3度、首位打者1度、最多安打3度獲得。助っ人外国人で初のNPB通算2000安打を達成した。

 ラミレス氏は巨人に移籍した08年に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っていた。

「状況別の配球を頭の中に入れておけば、打席に立った際に非常に有利になるからね。そのために、DVDを見て分析をしている。僕のアシスタントに、出場ゲームをすべてDVDで録画してもらっているんだ。だから、次にドラゴンズ戦が控えていれば、前の3連戦のDVDで相手バッテリーの配球をチェックしておく。このように、事前に予習することが勝負強さの秘訣かな」

 将来のキャリアについても言及している。

「まずは選手としてのキャリアはジャイアンツで全うしたいと思っている。野球をリタイアした後は、チャンスがあれば監督になりたいんだ。日本の球団で監督の座に就ければベストだけれど、その場合はどこの球団でも構わないよ(笑)」

 有言実行で、現役引退後の16年からDeNAの監督に就任。5年間でリーグ優勝には手が届かなかったが、Aクラスに3度入り、17年はCSを勝ち抜いて日本シリーズに進出した。

 ビシエドもDeNAで新たな野球人生がスタートした。36歳とベテランの域に入ったが、まだまだ輝ける。熾烈なCS争いが繰り広げられる中、今後の活躍が楽しみだ。

写真=BBM
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