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規定打席に届けば首位打者も…打率1割台から急上昇の「黄金ルーキー」は

 

大学No.1強打者


今季、ドラフト1位でロッテに入団した西川


 最下位に低迷するロッテの光になっているのが、ドラフト1位の西川史礁だ。

 2度のファーム降格を経験して、6月17日終了時点で打率.139、0本塁打、3打点。だが、ここから上昇気流に乗る。6月の残り8試合でマルチ安打を6試合放つと、7月は月間打率.303、8月は月間打率.356と好調を維持して、打率.290まで一気に上昇。プロ初の四番に抜擢された7月30日の楽天戦(ZOZOマリン)では、1点差を追いかける4回に岸孝之のスライダーを左翼に運ぶプロ初アーチが飛び出した。

 青山学院大で大学球界を代表するスラッガーとして活躍。「大学No.1強打者」の呼び声が高く、昨秋のドラフト1位でロッテとオリックスが競合した。オープン戦では打率.410をマーク。「おそらく、探られているのだと思います。開幕すれば、投手の攻め方も変わる。だからと言ってアウトになりたくないのは当たり前ですし、全打席ヒットを打ちたい気持ちに変わりはないので、どんな投手が来ても自分のスイングは崩さないように心掛けています。今はヒットコースに飛ばせているのでいい状態だと思いますし、変化球への対応もできているので、そこは自信になります」と週刊ベースボールのインタビューで語っていた。

 西川の冷静な分析は当たっていた。プロはオープン戦で対戦打者の得意、不得意なコース、球種など情報を得るため、甘い球を投げて「餌巻き」をすることがある。シーズンに入れば、攻め方がガラッと変わった。開幕から5試合連続安打を放ったがその後は快音が聞かれなくなり、4月12日に一軍登録を抹消。同月29日に再昇格し、5月18日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で同点の延長12回一死一、二塁の好機に代打で登場して右中間を破るサヨナラの適時二塁打を放ったが、その後に安打が出ず、6月13日にファーム降格となった。

苦しい状況を打破


 苦しい状況で前を向くのは難しかっただろう。だが、西川は並の新人ではない。6月下旬以降は中堅から逆方向への安打が目立つようになった。始動を早めに取り、間を長く取ることで広角に快音が出るように。得点圏打率.344と勝負強さも目立つ。

 大卒同期入団の選手たちと比較しても、西川の成績は際立っている。ドラフト1位指名で5球団が競合した宗山塁(楽天)は打率.254、3、4月は月間打率.435と絶好調だった渡部聖弥(西武)はその後に相手バッテリーのマークが厳しくなり打率.253に下がっている。他球団のスコアラーは、「西川はコンタクト能力が新人離れしている。特に変化球への対応力が高い。一過性の勢いでなく、根拠のあるヒットを打ち続けていると思います。ロッテ打線の中で厄介な存在であることは間違いない」と警戒を口にする。

どの投手にも強いスイング


 外野を守るパンチ力のある右打者は、山口航輝山本大斗がいる。開幕前に以下のように語っていた。

「プロのレベルの高さ、厳しさを感じています。皆さん、すごい選手で厳しいポジション争いになりますが、自分のやるべきことは変わりません。競争であることを意識するなと言われても、意識しないのは無理です。自分に何かダメなところがあったらすぐに代わられる立場なので、必死にプレーして結果を出せるようにしないといけません。レベルが高いポジション争いですが、何とか食らいついていけるように全力で頑張ります」

「どの投手に対しても、強く振ることができる。なおかつ、右にも左にも打つことができる。思い切りフルスイングしながら、その中でヒットゾーンに打てる柔らかさもある。自分ではそう思っているので、そこを自分の持ち味だと意識して、アピールしていきたいと思います」

 現在289打席。残り34試合であることを考えると、規定打席到達に届くか微妙な状況だが、投高打低が顕著になっている中で打率3割に到達すれば大きな価値がある。高いパフォーマンスを出し続け、規定打席に到達すれば首位打者の可能性も。声を枯らして応援してくれるロッテファンのためにも、残りのシーズンを全力で駆け抜ける。

写真=BBM
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