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33試合で14本塁打…驚異的な量産ペースの筒香嘉智が「短期決戦のキーマン」に

 

主力が欠けた中で打線の軸に


10月1日のヤクルト戦で日米通算250号本塁打を放った筒香


 今のDeNAを牽引しているのは、筒香嘉智であることに異論はないだろう。

 10月1日のヤクルト戦(横浜)では、1点リードの初回一死二塁で小川泰弘の高めに浮いたフォークをバックスクリーンに運ぶ2ラン。今季最終戦で日米通算250号に到達し、2019年以来6年ぶりのシーズン20号にも到達した。

 前半戦の状況を考えれば、驚異的な盛り返しだ。打撃状態が上がらず、7月7日にファーム再調整に。この時点では打率.174、6本塁打、10打点だった。酷暑の中で若手にまじってバットを振り込んだ。1カ月後に戦列に復帰すると、33試合で14本塁打と量産。主将で主砲でもある牧秀悟が左手親指付け根を痛めて8月1日に登録摩抹消され、宮崎敏郎も右膝後十字靭帯の部分損傷で9月3日に戦列を離れた中、筒香が打線の軸となり白星を積み重ねた。

 9月以降は17勝6敗1分と大きく勝ち越し。「ベイスターズの力はこんなもんじゃない。選手はもっともっといいパフォーマンスができると思う。それを残り試合で全員が出せたときに、いい結果になる」と語っていたが、有言実行で2位でのCS進出を決めた。

「ファンの雰囲気が変わる、大きな存在」


 この短期決戦は、特別なモチベーションで戦うことになる。三浦大輔監督が今季限りで退任することが発表された。米国から5年ぶりに復帰した昨年4月。熱いラブコールをもらったのが、三浦監督だった。現役時代からお世話になり、勝利への執着心や試合に臨む準備の重要性を学んだ。指揮官となり、再び同じユニホームで戦えることが復帰を決断した大きな理由の一つだった。

 三浦大督は「ファンの雰囲気が変わる。大きな存在」と筒香を評していた。昨年はレギュラーシーズン3位からCS、日本シリーズを勝ち抜いて頂点に。筒香はシーズンで打率.188、7本塁打、23打点と思うような結果を出せなかったが、下克上の原動力になった。ソフトバンクと対戦した日本シリーズでは王手をかけて臨んだ第6戦で、2回に有原航平のチェンジアップをバックスクリーン右へ運ぶ先制アーチ。5回二死満塁の好機では、左中間へ走者一掃の二塁打を放って日本一に導いた。

本拠地で巨人を迎え撃つCS


 真のチャンピオンを目指す今年は「横浜奪首」をチームスローガンに掲げた。三浦監督は開幕前に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っていた。

「昨年、日本シリーズを制して迎えるシーズンですが、これまでと違う点を挙げるなら、横浜スタジアムにはためく日本シリーズのチャンピオンフラッグの下で戦えるということ。それだけです。選手、コーチ、スタッフ全員が、昨年はリーグ3位だったという事実を決して忘れていません。そこからクライマックスシリーズ、そして日本シリーズへと進む中で、楽な試合など一つもなく、どれも厳しい戦いでした。その中で勝ちきることができたこと、そしてあんなにも多くのファンの方に喜んでもらえたことは、本当にうれしかったです」

「しかし、それですべてを成し遂げたわけではありません。まだリーグ優勝という大きな目標が残っています。27年間も達成できていませんし、険しい道のりですが、それに対してやりがいを感じています。自分たちは、まだまだです。何も満足はしていない。今はリーグ優勝に向かって、チーム全員が同じ方向を向いていると感じています」

 機は熟したかに見られたが、圧倒的な強さで首位を独走する阪神がリーグ優勝を果たし、三浦監督は退任することを決断した。大きな目標であるペナントレースの栄光は勝ち取れなかったが、戦いはまだ続く。CSファーストステージは3位の巨人を本拠地・横浜スタジアムで迎え撃つ。筒香がキーマンになることは間違いない。相手バッテリーのマークが厳しくなることは必至だが、三浦監督と歓喜の瞬間を味わうために打ち続ける。

写真=BBM
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