2025年度のドラフト会議が10月23日に都内のホテルで開催され、支配下ドラフトで73人、育成ドラフトで43人、計116人が指名された。セ・リーグは阪神がアマチュア球界No.1スラッガー・立石正広(創価大)を3球団競合の末に交渉権を獲得。中日が大学生No.1投手の呼び声高い中西聖輝(青学大)を単独1位で指名成功した。ドラフトが成功、失敗だったかは5年後、10年後にならないと判断できないが、各球団が補強ポイントに合致する選手を獲得できたかに主眼を置き、週刊ベースボールONLINE編集部が採点した。 ※表記した選手は支配下ドラフトのみ 阪神タイガース

阪神からドラフト1位で指名された創価大・立石[写真=井出秀人]
■阪神 95点
1位 立石正広 内野手 創価大
2位
谷端将伍 内野手 日本大
3位
岡城快生 外野手 筑波大
4位
早瀬朔 投手 神村学園高
5位
能登嵩都 投手 オイシックス
会心のドラフトと言っていいだろう。
藤川球児監督が立石の当たりクジを引き当てた。阪神は
森下翔太、
佐藤輝明、
大山悠輔とドラ1で活躍する強打者の先輩たちがいる。稀代のスラッガーにかかる期待は大きい。谷端も強打の内野手で、1位指名で消えても不思議でない逸材だ。3位の岡城は俊足巧打が持ち味で、
近本光司の後継者を目指す。4位の早瀬は力強さとしなやかさを併せ持つ大型右腕。将来のエース候補だ。
横浜DeNAベイスターズ
■
DeNA 80点
1位
小田康一郎 内野手 青山学院大
2位
島田舜也 投手 東洋大
3位
宮下朝陽 内野手 東洋大
4位
片山皓心 投手 Honda
5位
成瀬脩人 内野手 NTT西日本
1位でサプライズ指名した
佐々木麟太郎と縁がなかったが、小田は天才的な打撃センスを持つ巧打者。大学時代は主に一塁だったが、三塁を守る能力も十分にある。2位の島田は直球の球威が大学トップクラス。変化球の精度を磨けば、プロの舞台で大きく飛躍できる。4位の左腕・片山は今月に27歳になるオールドルーキー。新人から稼働したい。左腕のリリーバーが手薄なことを考えると、もう1枚欲しかった。
読売ジャイアンツ
■
巨人 75点
1位
竹丸和幸 投手 鷺宮製作所
2位
田和廉 投手 早稲田大
3位
山城京平 投手 亜細亜大
4位
皆川岳飛 外野手 中央大
5位
小濱佑斗 内野手 沖縄電力
6位
藤井健翔 内野手 浦和学院高
1位指名を事前公表していた竹丸の一本釣りに成功。投手陣強化が懸案事項の中で、3位まで大卒、社会人の投手を指名して狙いは明確だったが、即戦力の観点では疑問符が。2位の田和は182センチの長身で右の変則サイド。3位の山城は東都リーグを代表する左腕だが、まだ線が細い。皆川は大学1年春からレギュラーを張った強打者。身体能力の高さに定評があり、1年目から外野の定位置を目指す。
中日ドラゴンズ

中日からドラフト1位で指名された青学大・中西[写真=大賀章好]
■中日 90点
1位 中西聖輝 投手 青山学院大
2位
櫻井頼之介 投手 東北福祉大
3位
篠崎国忠 投手 徳島インディゴソックス
4位
能戸輝夢 外野手 明秀学園日立高
5位
新保茉良 内野手 東北福祉大
6位
花田旭 外野手 東洋大
1位で複数球団の競合が予想された中西の単独指名に成功。抜群の安定感で修正能力が高い。2ケタ勝利&新人王を十分に狙える。2位の櫻井もゲームメーク能力が高く、1年目から先発ローテーションに入る力がある。篠崎は193センチの長身から投げ下ろす最速157キロの直球、140キロ台のフォークが武器の剛腕。セットアッパーで覚醒を期待したい。中日は若手の投手陣が伸び悩んでいる背景を考えると、狙いどおりのドラフトと言えるだろう。
広島東洋カープ
■
広島 80点
1位
平川蓮 外野手 仙台大
2位
齊藤汰直 投手 亜細亜大
3位
勝田成 内野手 近畿大
4位
工藤泰己 投手 北海学園大
5位
赤木晴哉 投手 佛教大
6位
西川篤夢 内野手 神村学園伊賀高
7位
高木快大 投手 中京大
1位指名を事前公表していた立石の交渉権を獲得できなかったが、スイッチヒッターで大型外野手の平川を指名。若返りの時期を迎えているチーム状況を考えると、大きなロマンを抱かせる選手だ。2位以降に指名した大卒投手の齊藤、工藤、赤木、高木もスケールの大きさを感じさせる。高木は大学4年に右肘痛で苦しんだが投手としての総合力は高く、
日本ハムのドラフト8位で入団した
北山亘基のように大ブレークする可能性を秘める。
東京ヤクルトスワローズ
■
ヤクルト 65点
1位
松下歩叶 内野手 法政大
2位
松川玲央 内野手 城西大
3位
山崎太陽 投手 創価大
4位
増居翔太 投手 トヨタ自動車
5位
鈴木蓮吾 投手 東海大付属甲府高
6位
石井巧 内野手 NTT東日本
7位
飯田琉斗 投手 ENEOS
1位は攻守で能力が高い松下を単独指名。キャプテンシーに定評があり、将来のチームリーダーになれる。手薄な内野手強化の重要性は理解できるが、先発投手のコマ不足が深刻な状況を考えると、2位以下の指名に疑問符が付く。3位の山崎は大卒だが、投手歴3年の素材型でじっくり育てる時間が必要になる。7位の飯田は奪三振能力に定評があるリリーバー。先発で1年目から期待できるのは、4位の増居のみと物足りなさを感じた。
写真=BBM