若手先発の台頭が浮上へ必須

青学大でエースとしてマウンドに立ってきた中西
今秋のドラフトで3球団が競合したアマチュア球界No.1スラッガー・
立石正広(創価大)の当たりクジを引き当てた
阪神がフォーカスされたが、大学No.1右腕の呼び声高い
中西聖輝(青学大)を1位で単独指名に成功した
中日も会心のドラフトと言えるだろう。
井上一樹監督が就任した今年は3年連続最下位から脱出したが、借金15の4位と満足できる成績ではなかった。403得点はリーグワースト。打撃強化が課題だが、先発陣も物足りない。本拠地が広いバンテリンドームであることを考えると、チーム先発防御率3.13は改善の余地がある。来年からホームランテラスが設置されるため、得点力アップとともに失点をいかに防ぐかがカギを握る。
中日の懸案事項は20代の先発投手が一本立ちしていないことだ。
大野雄大が20試合登板で11勝、
松葉貴大が23試合登板で7勝と35歳を超える両左腕の奮闘ぶりに頭が下がるが、エースの
高橋宏斗に続く若手が台頭してこない。昨年のドラフト1位左腕・
金丸夢斗は15試合登板で2勝6敗、防御率2.61。打線の援護に恵まれない登板が目立ったが、及第点をつけられる。ただ、期待の若手の
仲地礼亜、
松木平優太はともに1試合登板のみに終わった。
2021年に最優秀防御率と最多奪三振のタイトルを獲得し、今オフにFAで去就が注目されていた
柳裕也の残留は明るいニュースだが、若手の底上げなくして優勝争いは望めない。即戦力の先発投手が補強ポイントになっていただけに、中西はのどから手が出るほど欲しい投手だった。
アマ球界でエリート街道

中日からドラフト1位指名を受け、笑顔を見せる
アマチュア球界でエリート街道を歩んできた。智弁和歌山高で3年夏にエースで全国制覇を達成。青学大に進学前にトミー・ジョン手術を受け、大学入学直後はリハビリに専念したが、「プロ入りに対して心の曇りというのは一回もなかったです。大学進学を決めた時点で、安藤(寧則)監督と4年間、もう1回全力で頑張って、必ずドラフト1位でプロの世界に入るという熱い約束を交わしたので、男の約束として、それは破ることはできない。僕の中でその気持ちに関して揺れることは一つもなかったです」と目標はぶれなかった。
青学大で2年春にリーグ戦デビューし、3年春の駒大2回戦で初先発初勝利。主戦となった3年秋はリーグ戦6勝0敗、防御率2.22で最優秀投手、ベストナインを獲得した。明治神宮大会でも2勝を挙げ、大学四冠に大きく貢献。4年春は6勝2敗、防御率1.41、70回1/3を投げて84奪三振と圧巻の投球内容でMVPに選出された。
1年目の目標は新人王
投手はマウンドに上がれば状態が良い時ばかりではない。万全でなくても修正して大崩れしないのが一流投手の条件だが、中西はこの能力が非常に高い。最速152キロの直球に、落差や軌道を自在に操れるフォーク、打者のタイミングを外すカーブと打者を打ち取る術に長けている。
ドラフト会議後に、指名あいさつに訪れた井上監督は「ストレートと変化球でゲームをつくれる。智弁和歌山高、青学大と厳しい中で鍛えられて、野球をすごく学んできている選手というところが、僕の中では選ばせてもらった一番のポイント」と指名の理由を明かし、「高橋宏斗や金丸夢斗といった同世代の中に入って勝負してほしい」と期待を込めた。
中日はドラフト2位でも完成度が高い
櫻井頼之介(東北福祉大)を指名している。スライダー、カットボール、スプリット、チェンジアップ、カーブと多彩な変化球を駆使してスタミナも抜群。今年の大学選手権では日本一に導いている。
高橋宏、金丸に続く形で中西、櫻井が先発ローテーションでプロ1年目から稼働すれば、優勝争いの期待がふくらむ。中西は「素晴らしい投手が数多くいますし、ファンの皆さまの気持ちもすごく熱い。その中で早くチームの一員となって、戦力となって戦いたい」と言葉に力を込める。高校、大学で日本一に輝いた右腕が目標とする新人王に輝くパフォーマンスを発揮すれば、チームは新しい景色が見られるはずだ。
写真=BBM