野村スコープの衝撃

　月見草か……。花言葉は『無言の愛』と聞いたことがある。カッコいいね。巨人の王貞治さん、長嶋茂雄さんをひまわりに例え、自分を卑下するようでありながら、強い主張を感じる。「目立たんかもしれないが、俺はしっかり咲いているぞ」とね。

　野村克也さん──。選手としては超一流のキャッチャーであり、戦後初の三冠王となった強打者でもあった。監督としては「再生工場」とか「ID野球」と言われ、野球界を変えてきた名将だけど、俺が印象的なのは解説者時代の「野村スコープ」だ。ネット裏側からの中継がセンターカメラを使ったものに変わった後、ストライクゾーンの9分割を実際の映像に合わせたヤツ。あれでテレビの野球中継だけじゃなく、解説も変わったと思う。打者への配球が一つの物語になったと言えばいいのかな。

　南海、ヤクルト、阪神、楽天と、いつもチームの低迷期に監督になって、阪神以外はしっかりチームを強くしたし、阪神時代だって、3年連続最下位ではあったが・・・