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川口和久のスクリューボール

川口和久コラム「マツダ広島での巨人連勝に感じた時代の節目」

 

生きのいい活躍を見せている巨人・北村


9年ぶりの3連勝


 少し前になるが、7月14日からの広島-巨人3連戦について書いてみたい。3連戦の舞台となったマツダ広島は、巨人にとって長く鬼門と言われ、今回の3連勝は2011年以来だったという。

 味方には背中を押す風となり、相手には重圧を与えていた満員のファンの後押しが欠け、カープが裏ローテだったことは間違いない。ただ、選手個々の力の差というより、戦い方、さらに勝利への執念の部分で、巨人が明らかに上回っていたことも事実だ。

 一番よく分かるのが、主力打者のバントだ。原辰徳監督の野球において、シーズン終盤、ここぞの場面での主軸のバントはある。だが、この3連戦は、いつもより短いとは言え、まだシーズン序盤だ。それでも原監督は、優勝を奪回した昨年でさえ、4勝7敗1分と負け越しているマツダ広島への苦手意識を、この3戦で完全に払しょくしようとしたのだと思う。最後まで手綱を緩めなかった。

 まず14日の第1戦、巨人先発の菅野智之の調子は今一つで、カープの打者に粘られ、審判のゾーンが狭かったことにも苦しめられていた。一方の九里亜蓮は、本来の打たせて取るピッチングじゃなくパワーピッチをしていた。前回の巨人戦(6月24日)で力押しでいいピッチングをしたこともあるはずだ。別に悪いことではないが、今回は少しコースが甘く、投球が淡泊だった。

 原監督は両投手を見て、序盤勝負と思ったのだろう。3回、先頭の菅野が四球で出ると、一番の亀井善行に送りバントをさせ、そこから4点を奪った。以前も書いたことがあるが、原監督は「ベンチワークは7回以降。そこからはこちらの判断で動くが、それまでは選手に任す」とよく言っていただけに「仕掛けが早いな」と思った。対して広島は、5点を取られても6点を取って逆転するという3連覇の時期の迫力が感じられず、巨人がエラー絡みで追加点を奪い、7対2で勝った。

残像は消すべき


 第2戦も巨人は初回先頭打者の北村拓己がヒットの後、二番の坂本勇人が送りバント。ここから先制点を取り、もはや並の投手になったK・ジョンソンから小刻みに点を奪った。一方、巨人先発・戸郷翔征に関しては、脱帽するしかない。これで3勝目。いいときはいいが、続ける力はないだろうと思っていたが違った。打線では丸佳浩を休ませ、三番に入れたウィーラーが攻守で活躍し、12対1の大勝だ。

 3戦目は9対4だったが、競ったわけでもないのに、三番の丸に2度バントをさせた。亀井、坂本、丸と、いずれも、この3連戦までバントはなく、原監督が特別な戦い方を見せたことが分かる。

 今の巨人は、打線は坂本、岡本和真、投手では菅野と生え抜きを軸に、北村、戸郷と若手選手が結果を見せ始め、ウィーラーのように補強組も成功と、すべてがいいほうに回転している。

 一方のカープは、打線のつながりが悪く、守備はミスが多く、投手は四球が多い。正直、時代の節目を感じた。暗黒期から抜け出し、切れ目のない打線で、逆転に次ぐ逆転で3連覇を達成したカープ野球が終わったのかな、と。

 別に、それは構わないと思う。選手も入れ替わったし、監督も佐々岡になった。新しい野球になって当然だし、むしろそうあるべきだと思う。いつまでも過去の残像にとらわれても仕方がない。佐々岡には自分の色を出し、新しいカープの勝ち方を模索してほしい。時間はかかるかもしれないが、それこそが黄金期復活への道だ。

PROFILE
川口和久/かわぐち・かずひさ●1959年生まれ。鳥取県出身。左投両打。鳥取城北高からデュプロを経てドラフト1位で81年に広島入団。3年目の83年に先発の一角を確保し、86年からは6年連続で2ケタ勝利を挙げた。95年にFAで巨人へ移籍、98年限りで現役引退。巨人のコーチも務めた。通算成績435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38。

関連情報

川口和久

広島、巨人で活躍した川口和久氏が独自の視点でプロ野球に斬り込む連載コラム。

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