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広島先発陣に加わった頼もしい一枚。故障を乗り越え、野村祐輔が待望の一軍復帰

 


「最低限、ゲームを作ることができました。まだまだこれからです」

 7月22日の阪神戦(甲子園)で、今季初めてマウンドに上がった男は、そう言って次の登板を見据えた。

 野村祐輔は今季、プロ入り9年目にして初の開幕二軍スタートとなった。2月の宮崎・日南キャンプ序盤に坂道ダッシュのトレーニングで右ふくらはぎを負傷。病院では「右腓腹筋損傷」と診断された。3月上旬に実戦復帰を果たしたが、開幕ローテーションの中に野村の名前はなかった。

 鍛え上げた“最強ボディー”で今季に臨むはずだった。「シーズンが早く終わってしまったので、自分を見つめ直して鍛え直す時間があった」。オフは地元の岡山・倉敷を拠点に自主トレを敢行。ウエートトレーニングの重りを増やし、例年より強度を上げた。スピード、瞬発力は維持しながら、体重は3キロアップ。自身最高の88キロまで増量した。キャリアハイを目標に掲げた矢先でのまさかのアクシデントだった。

 それでも、一軍のマウンド復帰を目指し、ファームでは順調な仕上がりをみせた。ウエスタン・リーグでは5試合に先発し、防御率2.92の成績を残した。「リリースするタイミングが良くなってきた感じはある。いいときのボールになってきた感じはあります」と手応えを口にしていた。「なるべく動きやすいように」と現在では体重83キロ前後まで体を絞り、コンディションを整えている。

 気持ちの上での刺激もある。明大の後輩の活躍を喜んだ。ドラフト1位ルーキーの森下暢仁が2度目の先発となった6月28日中日戦(ナゴヤドーム)で9回途中3失点の力投でプロ初勝利をつかんだ。野村自身もプロ2度目の試合で初勝利を挙げていた。「早いうちに勝てたのはよかったと思う。僕も2回だったので」と笑った。

「早く上がることしか考えてない」と語っていた71勝右腕は、上記の阪神戦で待望の今季初登板。一軍復帰即勝利とはならなかったが、6回を103球、5安打1失点に抑えてしっかりと試合を作った。カープの先発ローテーションに、心強い一枚が戻ってきた。

写真=BBM

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