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ドラフト回顧

【ドラフト回顧・2009年】6球団競合の菊池雄星は西武へ、ついに巨人が長野久義を単独1位指名

 

今年もまた、ドラフト会議が近付いてきた。1965年秋からスタートし、今年で56回目。制度をさまざまに変えながら歴史を紡いできた。ここでは2019年のドラフト会議まで、1年ごとに振り返っていく。

広島は甲子園のスター2人を獲得


2度の拒否を経て、巨人に1位指名された長野(右。左は原辰徳監督)


 2009年から史上初の試みとして、抽選に当選した一般のファン1000人が会場に招待され、熱いドラマを見守った。

 最大の目玉はメジャーのスカウトからも熱視線を送られていた花巻東高の菊池雄星(現マリナーズ)。国内12球団に加えてメジャー8球団とも面談をしたが、NPB入りを決断すると6球団が競合し、西武がクジを引き当てて交渉権を獲得した。巨人入りを熱望してこれまでに2度、入団を拒否していたHondaの長野久義(現広島)は、ついに巨人が1位で単独指名に成功している。

 ほかにもロッテが“韋駄天”荻野貴司(トヨタ自動車)、ソフトバンクが2019年までにベストナイン2度、ゴールデン・グラブ賞5度受賞することになる明豊高の投手兼内野手・今宮健太、横浜高の四番で16年に本塁打、打点の2冠に輝く筒香嘉智(現レイズ)を地元の横浜(現DeNA)が単独指名。いずれも球界を代表する野手へと成長を遂げて、筒香は今季からメジャー・リーグで活躍している。

 また広島はセンバツ決勝で花巻東高・菊池に投げ勝って優勝を果たした清峰高・今村猛を1位で、夏の甲子園で優勝した中京大中京高のエース兼四番・堂林翔太を2位で指名し、甲子園のスター2人を一気に獲得している。

【2009年ドラフト12球団1位】
オリックス 古川秀一(日本文理大/投手)
横浜 筒香嘉智(横浜高/内野手)
ロッテ 荻野貴司(トヨタ自動車/外野手)
広島 今村猛(清峰高/投手)
西武 菊池雄星(花巻東高/投手)
阪神 二神一人(法大/投手)
ソフトバンク 今宮健太(明豊高/内野手)
ヤクルト 中澤雅人(トヨタ自動車/投手)
楽天 戸村健次(立大/投手)
中日 岡田俊哉(智弁和歌山高/投手)
日本ハム 中村勝(春日部共栄高/投手)
巨人 長野久義(Honda/外野手)

 この年は下位にも逸材がひしめいていた。4位ではロッテの清田育宏(NTT東日本)が即戦力の期待に違わず1年目からチームの“下克上”日本一に貢献。阪神の秋山拓巳(西条高)は17年に12勝をマークしている。

 5位には後のタイトル・ホルダーが2人。中日の大島洋平(日本生命)は12年に盗塁王を獲得し、打率3割を4度マーク。19年は最多安打に輝いている。日本ハムの増井浩俊(東芝)は12年に最優秀中継ぎに輝くと、18年にFA移籍したオリックスを含めて昨季までの10年間で通算163セーブを記録するなど、球界を代表するクローザーの1人となった。

 また阪神は6位で原口文仁(帝京高)を獲得。昨季、大腸がんから鮮やかな復活を遂げ、代打の切り札として輝きを放っている。

写真=BBM

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