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立浪和義コラム

中日の正捕手候補・木下拓哉選手の可能性【立浪和義の超野球論】

 

ドラゴンズの正捕手第一候補の木下


いかに準備してきたか


 今年も2月1日のキャンプインが近付いています。

 現在、全国ではありませんが、宮崎県を含め、新型コロナの感染拡大で緊急事態宣言が出ている都道府県が増えています。今後の感染状況で、まだ変更はあるのかもしれませんが、無観客が多いとはいえ、ひとまず12球団すべてが2月1日からキャンプをスタートできそうということで、ほっとしています。

 特に今年は、私自身、沖縄のドラゴンズキャンプを臨時コーチとして手伝うことになってます。以前も書いたことがありますが、ドラゴンズは、特に野手に関して、世代交代の時期にあり、楽しみな若手選手が多い。3年目の根尾昂選手、二軍スタートとはなりましたが、2年目の石川昂弥選手をはじめ、気になる選手はたくさんいます。じっくり見ていきながら、できる限りアドバイスしていけたらと思います。

 ドラゴンズに限りませんが、一つの注目は選手たちの調整具合ですね。昨年は開幕が遅れたこともあり、120試合と試合数が少なかったですが、閉幕が例年よりかなり遅れ、1カ月ほど短いオフになりました。若い選手にとってキャンプは首脳陣へのアピールの場でもありますが、キャンプまでに前年の疲労をしっかり取り、厳しい練習についていく準備ができているかどうかは一つポイントになるのかなと思います。

3位躍進の功労者


 昨年、久びさにBクラスを脱出し、3位となったドラゴンズの大きな原動力はリリーフ陣でした。最優秀中継ぎ投手に輝いた祖父江大輔選手、福敬登選手、抑えのライデル・マルティネス選手らが安定したピッチングを見せましたが、登板過多になりがちなリリーフ陣は、なかなか何年も続けて活躍するのが難しいポジションでもあります。先ほども触れたとおり、どれだけこのオフで休養し、疲労を抜くことができたかは気になるところですし、キャンプでも飛ばし過ぎには注意してほしいと思います。

 昨年、後半戦のリリーフ陣、そして先発陣の活躍に関し、大きかったのが、捕手では最多となる88試合に出場した木下拓哉選手だと思います。キャッチング技術がうまいし、盗塁阻止率もリーグトップの.455でした。何より、捕手を固定できたことで、外から見ていても分かるくらい投手陣が落ち着いてきました。バッティングもクセがなく、いいものは持っていると思います。ただ、見ていると打撃もスローイングもですが、まだまだ上体に頼る部分があります。このようなタイプは、体力があるうちはいいですが、試合を重ねて体が疲れてくると、どうしても動きの精度が落ちてしまいます。本人も分かっていると思いますので、これからキャンプで、しっかり取り組み、克服していってほしいですね。

 捕手は併用が当たり前の時代になり、なかなかフル出場とはいかない時代ですが、捕手を含めたセンターラインは、固定したほうが間違いなく戦いが安定します。ドラゴンズは谷繁元信さんが引退した後、なかなか正捕手を固定できずにいました。待望の正捕手候補最右翼が木下選手であることは間違いありませんが、ほかにも加藤匠馬選手をはじめ候補がいます。キャンプ、オープン戦と切磋琢磨し、今年こそ120試合以上スタメンで出られるような捕手が登場してほしいですね。

PROFILE
立浪和義/たつなみ・かずよし●1969年8月19日生まれ。大阪府出身。PL学園高からドラフト1位で88年中日入団。1年目からショートのレギュラーをつかみ新人王、ゴールデン・グラブに。その後、95年から97年とセカンド、03年にはサードでゴールデン・グラブに輝き、96年にセカンド、04年にサードでベストナインを手にしている。09年限りで引退。通算2586試合2480安打、135盗塁、打率.285。487二塁打は日本球界最多記録でもある。

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