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デーブ大久保コラム

巨人・原監督が終盤で行った人事 阿部一軍作戦コーチの効能は未知数です【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】

 

阿部二軍監督から一軍作戦コーチへ。これが吉と出るか凶と出るか、ではなく優勝と出ないといけない状況に巨人はなっています[写真=BBM]


 何とか次の球団が決まると私もうれしいです。一也(藤田一也)が楽天を戦力外になりました。楽天時代に一緒に過ごした時間は貴重でした。何も言わなくても首脳陣の意図していることをやってくれる選手で、グラウンド内の監督的なこともできる選手です。さらにさらに、人格者ですから、チームに素晴らしい作用をもたらす選手です。選手たちのお手本、それ以上の選手ですから、欲しい球団は必ずあると思いますし、獲るべき選手だと思います。

 というような戦力外のことが耳に入ってきながら、10月5日のヤクルト対巨人をチェックしていました。この試合から、阿部慎之助二軍監督が一軍作戦コーチへと配置替えとなり、原(原辰徳)監督の斜め後ろでサインを出していました。私自身はこの人事にはそれほど驚いてはいません。そろそろ名将・原監督が何か手を打ってくるだろうな、とは思っていました。それがこの手法かあ、という感じで見ていました。

 もちろん、慎之助は選手たちと年齢が近いということもあります。それと同時に一軍と二軍の選手たちを一番把握できている人物です。つまり一軍の選手たちは現役のときに一緒にプレーしていましたし、二軍から上がって活躍している若手たちは、当然二軍で鍛え上げています。各選手の性格を知っているという強みはあると思います。

 それと原監督の話を聞ける存在だと思います。元木大介ヘッドコーチもそういうことができますが、慎之助は作戦コーチで入ったわけですから、作戦面での愚痴とは言わないですが、思うところを原監督が、いろいろと言いやすい立場なのかな、と推測します。やはり二軍でも監督は監督ですから、采配に関して分かり合える部分があると思うのです。

 そういう選手たちにも近い、原監督ともしっかり話し合える、つまりチームをつなぐ存在として一番適した人間が一軍に上がってきた。これはいい効果を与えそうですが……。このお話をしているときは、巨人は残り16試合。ヤクルトに6.5ゲーム差に広げられています。ということは16連勝しないと逆転優勝はない状況になっています。しかし、10月5日のヤクルト戦では1点差負けでした。一つひとつ内容を見ると勝てた試合でもありました。それを落としたのですから、非常に痛い。

 その中で「阿部効果」がどれくらい発揮できるのか……この人事自体、来季を見越した配置転換だとは思えない部分もあります。だとしたら、やはり残り試合を全力で全勝しにいくという考えの下で原監督が行った決断としか思えません。

 私の中でもなかなか解答が思い当たらないこの人事ですが、名将・原監督の頭の中には、何か答えがあるのだろうとは予測します。それが何なのか、この号が出るころに正解が導かれているかもしれません。さて、どうなっているでしょうか。

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