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デーブ大久保コラム

表舞台にあまり出ない1月の監督業しかし、一番頭を働かせる時期です【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】

 

一軍の監督は1年間だけでしたが、それでもキャンプイン前の1月は本当にいろいろなことで頭の中がぐるぐる回っていました。それを長い間やり続ける監督は本当に尊敬します![写真=BBM]


 1月中旬となり、ほとんどの球団で新人合同自主トレがスタートしています。一軍監督としては顔を出す日をいつにするのかすごく悩みます。新人はアピールの場を求めており、監督が直々に足を運ぶと聞かされるだけで、張り切ってしまう可能性が大なのです。

 一方、監督としてはある程度の実力が分かっていますから、アピールされるよりも、ケガなくキャンプに入ってほしいもの。監督の目の前でケガをされても困ります。自主トレ初日に激励に行く監督が多いのもそのためだと思いますね。そして、激励を済ませたらすぐに帰ってしまう監督がいるのも、そういう理由があります。だから監督がすぐに消えた、などの記事を読んで「冷たいなあ」と思わないでほしいです(笑)。監督はそれだけ選手たちのコンディションに気を使います。

 1月に入ってから2月にキャンプインするまで、監督の話が、表舞台にはあまり出てこないですが、この時期の監督の頭の中はパンパカパーン状態になっています(笑)。私が監督を務めていたときの話です。当時の一軍登録枠は28人でした。そこで一軍、二軍で28人+28人の56人を選び、さらにターンオーバーの投手を3人、野手を2人くらい考えて、そのほかの高校卒などの育成させる選手を頭の中に描きます。

 ターンオーバーとは、シーズン中にチームが厳しい状態に陥ったときなどに二軍からすぐ呼んでも一軍でしっかり仕事をこなしてくれる選手のことを指します。当時の楽天で私がターンオーバーで考えていたのは、投手ではボブこと川井貴志、野手では高須(高須洋介)などでした。彼らも役割をしっかりと理解してくれていたので、やりやすかったですね。

 この時期、ヘッドコーチともチームをどういうふうにやっていくかを頻繁に話し合います。特に投手についてですね。二軍の投手コーチにも連絡してどういうふうな投手陣を作ってほしいという自分の考えを伝えています。もちろん一軍の投手コーチとは綿密にいろいろな話をしていきます。先発投手陣が5枚そろっているチームなら、そこまで細かくは考えなくてもいいのかもしれませんが、先発が弱いチームは中継ぎ陣をどういう形で1年間やりくりをするのか、という話をとことん想定していきます。一方で野手に関してはそこまで深く考えませんでした。とにかく投手陣をどう1年間やりくりするか、ばかりを考えていましたね。そして1月末に行われるコーチ会議では、キャンプメンバーはほぼそろって、残り1、2人を誰にするかを話し合うくらいで、このときにはほぼ構想は固まっています。

 そういえば当時、いろいろと考えることの多いこの1月の外食は、知り合いの店にしか行きませんでした。ファンなどに何か言われるとカチンとくるくらいピリピリしていましたので、なるべくファンに会わないようになじみの店で夕食は済ませていましたね(苦笑)。

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