センバツ出場校のこれまでの試合を振り返る「センバツ出場校プレーバック」。第31回は特別編で21世紀枠の三島南。 自分の打撃フォームを画面で確認し練習の質を高める
野球人口の減少問題が叫ばれて久しいが、この難題に対して真摯に取り組んでいるのが三島南というチームである。未就学児童から小・中学生らを対象に、ゴムボールを使った手打ち野球や的当てゲームなどを企画。「野球」というスポーツをテーマに地元の子どもたちと遊び交流する姿が評価され、今春の21世紀枠の選出にもつながった。
地元では「三南(さんなん)」と呼ばれる同校だが、もちろん実力も侮れない。昨秋の静岡大会では名門・静岡に3対1で勝利しナインは自信を深めた。伝統的に速球派投手にめっぽう強い静岡打線に技巧派の右サイド・植松麟之介を先発起用。稲木恵介監督の柔よく剛を制す作戦が見事にハマり4強入りを果たしたのだ。
甲子園では接戦に持ち込めるかがカギ。投手の継投にも注目したい
さらに初の甲子園に向けて打撃陣のレベルアップにも着手。例えばケージを使ったフリーバッティングでは、選手の打撃フォームをカメラ撮影。選手交代の待ち時間を利用して本人が画面で確認できるように工夫するなど質の向上にも意識を配っている。
ある意味で、子どもたちとの交流は自分たちの練習時間を短くしてしまうことにもなるはずだが、選手たちにとっては人間力を高める貴重な場へとなっているのは間違いない。あとは三島南が全国の舞台でそのスタイルを披露するだけだ。きっと地元の子どもたちもテレビの前で応援しているぞ!
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