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『週ベデジ放題』1周年記念! 荒木大輔氏インタビュー「私と週刊ベースボール」

 

『週刊ベースボール』の最新号とバックナンバー(順次公開)のデジタル版を読むことができるサービス、『週刊ベースボールデジ放題』が8月18日に1周年を迎えた。それを記念してヤクルトなどでプレーした荒木大輔氏に『週刊ベースボール』の思い出を聞いた。

「取り上げてもらえるように頑張りたい」


荒木大輔氏


――『週刊ベースボールデジ放題』は歴史を後世につなげる文化的事業とお届けしているサービスです。

荒木 非常に興味深いサービスですよね。多くの野球ファンが楽しめると思いますね。古いファンは昔を懐かしむことができ、新しいファンは歴史を知ることができる。非常に意味がありますね。

――荒木さんにとって現役時代、『週刊ベースボール』とはどのような存在でしたか。

荒木 取り上げてもらえるように頑張りたいという気持ちはありました。例えば今と違って他球団の選手とは交流がそこまでありませんでした。でも、『週刊ベースボール』で対談を組んでもらえれば、それができる。そういう企画も多く組んでくれましたしね。

『週刊ベースボール』1986年1月20日号


――斎藤雅樹さん(巨人)とのツーショットが表紙になったこともありました(1986年1月20日号)。

荒木 これは覚えています。

――85年に斎藤さんが12勝、荒木さんが6勝を挙げてブレークの兆しを見せているタイミングでした。さらに同年阪神が日本一になっていますが、「ストップ・ザ・猛虎軍団!」ということで、東京に本拠地を置く巨人、ヤクルトの若手2人の対談が組まれたようです。

荒木 同学年ですし、向こうはどう思っていたかは別にして、負けたくない気持ちは強かったですよ。まして、ともにドラフト1位でしたし。ただ、前年の勝ち星でも斎藤が上。差は開いていましたが、追いつきたい存在であったのは間違いありません。

――対談でも「僕はまだ斎藤君みたいなゆとりはないですよ。やっと6勝したって感じですから。旋風なんていわれても……。やってやるって気持ちと不安とが半分半分。正直いってウカウカできないという気持ちなんです」と語っています。

荒木 それが正直な気持ちですよ。でも、この前本人と会って話したら、その後、斎藤は低迷したんですよね。

――86年は7勝、87年は0勝、88年は6勝でした。

荒木 そして89年から連続20勝ですか。私は86年8勝、87年10勝をマークしましたが、88年はシーズン途中に今でいうトミー・ジョン手術を受けましたから。そのころには“追いつきたい”と言えるような次元ではなくなりましたね。

初めて週ベの表紙になったのは……


『週刊ベースボール』1982年12月13日号


――ところで、初めて『週刊ベースボール』の表紙になったのは覚えていますか。

荒木 なんでしたっけ? 

――ドラフトで指名されたときですね(1982年12月13日号)。浮かない顔の写真が表紙となっています。

荒木 自分の気持ちとしては大学進学で、プロに行く気はなかったですから。でも、ヤクルト、巨人が1位で指名してくれて内心はうれしかったんですよ。ただ、あのころのマスコミはすごかったですね。あるとき、好きな球団を聞かれて、ちょうど早実のグラウンドが西武戦沿線で西武も身近に感じていて、「西武です」と答えたんです。それが記事になると「荒木、西武を逆指名!」。校長室に呼び出されて「そういう失礼なことをしてはダメだ」と怒られました(苦笑)。僕は好きな球団を言っただけなのに。

――そのあたり、『週刊ベースボール』は大丈夫でしたか。

荒木 大丈夫ですよ(笑)。嫌なことを書かれた記憶はありません。

――『週刊ベースボール』ではOBとの対談もよく組まれたと思います。

荒木 そうですね。球団OBだけでなく、球界の先輩とも。そう簡単にお話をできない方といろいろ言葉を交わすことができたのはありがたかったです。

――93年のキャンプ前にはヤクルトOB・松岡弘さんとの対談が組まれました。

荒木 92年にケガから復活して、4年ぶりの復活登板を果たして2勝を挙げたタイミングでしたね。

――松岡さんに数字的な目標を聞かれ、「それは何もないです。谷間に1年間投げられれば2勝でも3勝でもいいんです。昔みたいに元気なら岡林洋一西村龍次と張り合ってやる! という気にもなれるんですが……。まあ、少しでも岡林、西村らが楽になればそれで十分ですよ」と語っていました。

荒木 それは本音ですよ。それにケガから復帰後はつらいと思うようなことがなくなりましたから。ただただ、野球をできることが楽しかった。遠足前の子どもじゃないけど、ワクワクする気持ちばかり。ケガする前は「打たれたらどうしよう」「明日は大丈夫かな」という不安の気持ちが大きかったんですよね。だけど復帰後は打たれる怖さがまったくない。どんなにピンチになってもなんとも思わなくなりましたね。極端に言えば草野球でプレーしているような気持ちですよ(笑)。ピンチで落合博満さんを迎えても、「ここで落合と対決だよ」と思っていましたからね。

今後の週ベに期待すること


――『週刊ベースボール』で特に興味のある記事はどのようなものでしたか。

荒木 よく参考にしたのは変化球特集ですね。球場で握りなどをあからさまに聞くことはできないですからね。

――メジャーに行く前の田中将大投手(楽天)が変化球特集に掲載されていたファルケンボーグ投手(ソフトバンク)のスプリットの握りを参考にして習得したという逸話もあります。

荒木 選手にとって本当に助かりますよね。あとは目標にしている選手のインタビューを見るなどして、その人の考えを取り入れたりということもありましたね。

――今後の『週刊ベースボール』に期待することは?

荒木 専門誌として、選手が興味を抱くような記事を多く掲載してもらえるとありがたいです。やはり、メディアは“パイプ役”ですから。雑誌を通して一流選手の考えを知る。そこはブレずに貫いてもらいたいと思います。

写真=BBM

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