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栗山英樹監督が大切にする習慣とは?「笑顔で自分からあいさつする」

 

WBCで世界一奪還を果たした侍ジャパン・栗山英樹監督。その人材育成の核心を、好評書籍『ここで差がつく! スポーツで結果を出す81の習慣』(ベースボール・マガジン社刊)に収載された、著者・高橋宏文氏(東京学芸大学教授)との対談から抜粋して3回連続でお伝えしよう。2021年9月、日本ハムの監督を10年務めて語った人づくりの考え方とは。今回のテーマは「同じ努力をしているのに、結果に差が出るのはなぜか?」。(3回連続の1回目)

選手に求める前にまずは自分がやる


WBCで日本代表を世界一に導いた栗山監督[写真=Getty Images]


栗山 同じ環境、同じ努力をしていると仮定したうえで僕が思うのは、その人にとって本当に必要なことだと思う努力を「どれだけ本気でやっているのか」というのがまず一番。そして「どれだけ考えてやっているのか」。そこの意識で、すごく差は出るのかなと思います。もう一つは、これはちょっと大きくとらえすぎかもしれませんけど、なんか「その人の生きざま」みたいなものも関係しているのかなと。やっぱり自分のことばっかり考えている選手って周囲も助けてくれないですし、運も回ってこない。「野球の神さま」って言葉を僕はよく使いますが、日々の積み重ねによって得られた力が助けてくれるときが絶対にある。だからこそ、ふだんの生活の中から、誰かのために何かをやりたいとか、言葉をかけるなどの行動が、つながってないようでつながっている。監督を長くやるほど、そう思うことが増えました。だから朝起きて会った人に笑顔で「おはようございます」と自分からいうことにしています。それはもう習慣になっていますし、何気ないことかもしれませんが、大切なことだと思っています。先生のこの本でもそういった部分を書いてくれていますよね。

高橋 まさにその通りで、私は心が人の行動をつくり、行動が人の心をつくると考えているんです。「人として」「社会をつくる一人として」の成熟がなければ、本当の意味でのアスリートとはいえないですから。ほかにも日々の生活の中で必ず行っている習慣はありますか?

栗山 札幌ドームにある僕の監督室の黒板には「あいさつ勝」という言葉が書いてあります。選手たちに私からあいさつする。「なんでアイツはあいさつしないんだよ」って思うのって嫌じゃないですか。だったら、こっちから、もうしちゃおうと(笑)。それと、できていない選手にも結構いうことですが、席を立ったら、ちゃんと椅子を中に入れること。実際の試合で一瞬ボールから目を切ってしまったことですごくもったいないミスをしたりする選手がいますが、これって最後まで常にやり切る習慣を何か一つでも二つでもいいからつけておくことで防げるミスなんじゃないかなと。日常の些細なことがじつはプレーにもつながっているというか。あいさつが典型的な例ですが、選手たちに求める前に、まずは自分自身がやっていこうと、いつも考えてやっています。本当に心の中の田んぼを耕すような感覚というか。

高橋 やっぱり心が行動をつくるんですね。その人の考え方や、物事のとらえ方にもなる。僕は大学というカテゴリーでのアスリートたちと日々向き合っていますけど、この部分って、技術的なこと以上に大事なことだと思っています。

栗山 先生のいわれたことに同感です。僕はそもそも選手に野球を教えていないので。本当に人づくりだけ。もうそこに専念している。人が成長すれば、技術もそうですが、練習のやり方も自分で見つけられるようになる。その手伝いをすることが僕の一番の役割だと思っているんです。だから選手たちに技術論はほとんど話さないです。監督がいうと「使う、使われない」とかになっちゃうので、その部分はコーチにすべて任せています。監督になって、10年間でいろいろな変化は自分の中でありましたけど、根幹の「人をつくる」という部分はまったく変わらないですね。

(対談は2021年9月収録)


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