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『逃げてもええねん――弱くて強い男の哲学』より

坂口智隆の引退時にT-岡田は「やめるの?」――弟分の優しい空気感【第5回】

 

近鉄、オリックスヤクルトでプレーして、現在は野球評論家として活躍する坂口智隆さん。現役時代には「ケガに強い」「弱音を吐かない」武骨でストイックなイメージがありましたが、「本質は違います」とご本人。「こんな地味なプレーヤーの自分でも、20年プロ野球の世界で生きていけた」理由、考え方とは。6月に刊行された初の自著『逃げてもええねん――弱くて強い男の哲学』(ベースボール・マガジン社刊)より抜粋しご紹介します。今回は、弟分のT-岡田(オリックス)から学んだこと。

急に連絡が来て「ご飯に行こうや」


「Tは人間的に最高の奴」と坂口さん


 オリックスで一緒にプレーした選手も少なくなりました。野手でいえば、T-岡田安達了一宗佑磨若月健矢小田裕也西野真弘と、当時若かった数人ぐらいでしょうか。

 Tとは付き合いが本当に長いです。学年は僕が3つ上ですが、Tは僕のことを先輩ではなく、友だちだと間違いなく思っている(笑)。オリックスのときは急に連絡が来て、「ご飯に行こうや」、「釣りに行こうや」って。弟みたいな感じですね。

大人になった「弟」


 Tに対するイメージは、彼が若手のときから止まっています。だから、記事でコメントを見ると「大人になったなぁ」と感心させられる(笑)。チームリーダーとしての自覚が備わり、自分のことよりチームのことを思った発言が増えているのを読むと、いろいろ考えているんだなと感じます。

 オリックスはリーグ連覇を飾り、22年は26年ぶりの日本一に輝きました。Tは個人的になかなかうまくいかないシーズンだったかもしれないですが、ベテランの立ち位置になり責任感もある。立ち振る舞いを見聞きすると、立派だなと感じます。

自分が目立つことより周りの活躍を喜ぶ


 僕が引退するときも「やめるの?」って連絡がきて、寂しそうだったけれど、優しい空気感でした。やっぱり僕にとっては、いつまでたってもかわいい弟なのです。図体はでかいですが心が優しくて、自分が目立つより周りの選手が活躍するほうを喜ぶ。人間的に最高の奴。野球に対する情熱が伝わってくる。

 まだまだレギュラーとして踏ん張れるし、1年でも長く現役でプレーしてほしいです。

写真=BBM

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