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12球団スローガン物語2021 いざ2021年シーズンへ――熱き思いが言葉になった!【セ・リーグ】

 

「欲しがりません勝つまでは」「国民所得倍増計画」「アベノミクス」「ステイホーム」、あるいは「赤信号みんなで渡れば怖くない」「カラスなぜ鳴くの、カラスの勝手でしょ」……。政治、交通標語からギャグまで、昔から日本人はスローガン、標語好きだ。球界も例外ではなく、今や各球団のスローガン発表はキャンプ前の風物詩でもある。さて、今年はどんな変わった……いや、熱い言葉が登場するのか
(情報は1月24日現在)

読売ジャイアンツ


1 Team!〜和と動


サブキャッチを前面に出す

 原辰徳監督が復帰した2019年以降、メーンとなる『和と動』(題字は原監督)は3年連続で継続だが、サブキャッチを昨季までの『Show TheSpirit』から『 Team!』に変更し、ロゴ上もメーンの『和と動』に絡ませる形に(これまではメーンのみ)。「目標に向かって結束するチーム、そしてファンの皆さまの思いが一つになるという願いと、リーグ優勝、そして日本一という決意を込めました」と原監督。一、二、三軍の全軍が同じスローガンを掲げ、一つになり目標に進んでいく。メーンは結集して大きな力を生み出す『和』 、 個々の選手がパワーアップする『動』を意味し、指揮官も「新たな和と動を見せます!」と自信。

担当記者がチョイス!歴代最高のスローガンはこれだ!!


Speed&Charge(1993)

 長嶋茂雄監督が13年ぶりに復帰し定めた。1980年限りで一度、球界を去り、その間に刺激を受けたキューバ野球をモデルとする攻撃スタイルのことらしく、復帰の衝撃もあり広く知られるところに。その後、大砲を集めてCharge&Chargeになったとか、ならなかったとか……。(S)

阪神タイガース


挑・超・頂-挑む 超える 頂へ-


限界を超え頂点の景色を!

 矢野耀大監督就任以来、常に「挑戦」をテーマにスローガンを掲げてきた。2年連続Aクラス入りはしたが、優勝にはまだまだ足りないものがある。その足りないものを得るために常に目の前のことに「挑む」精神を持つことを選手たちに促す。そのためには「自分の壁を超える」ことが必要。矢野監督も「自分自身を常に超えることを意識し、そういう自分であり続けたい思ってほしい」という考えがある。それができれば自ずと「頂」が見えているはず。矢野監督の2年間は3、2位と順位を上げ、最後は「優勝」しかない。選手、首脳陣、そしてスタッフ全員がこの「挑」「超」を実現させ16年ぶりの「頂」に登り詰める。

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超変革 Fighting Spirit(2016)

 金本知憲監督就任1年目のド直球のスローガン。熱い男・金本監督の性格をそのまま表し、「超」という端的で強烈な言葉とともに、実際にスローガンどおり若手を多く起用しチーム変革を行ったことが強く印象に残っている。 (H.s)

中日ドラゴンズ


昇竜復活その先へ


目標はAクラスではない!

「昇竜復活」は与田剛監督が就任した3年前から掲げているテーマであり、変わらず使い続けている。2019年は「昇竜復活!WITH BLUE」、昨年は「昇竜復活」にとどまり、第3弾の今年は「昇竜復活 その先へ」となった。チームは昨年、8年ぶりのAクラスこそ果たしたものの、「目指すべきはそこではありません。まだまだその先の目標を達成できていないので、その先へ行こうということです」と与田監督がスローガンの意図を説明した。“その先”とは言うまでもなく優勝だ。今年は球団創立85周年であり、球場名もバンテリンドームナゴヤに変わった。節目の年にチーム一丸となって“その先”を目指す。

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Join usファンと共に(2012)

 みんなで叫んだ「ジョイナス!」だ。8年間で優勝4回と強竜時代を築いた落合博満監督だったが、球団は観客動員数の減少を理由に契約を結ばず。2度目となる高木守道監督を迎えるにあたり、ファンとの一体感を強調したが……。 (TM)

横浜DeNAベイスターズ


横浜一心


チームと横浜の街が一体に

 ラミレス監督の5年間は英語のフレーズが使われていたが、三浦大輔新監督を迎え、シーズンスローガンは6年ぶりに日本語となった。指揮官が考案した『横浜一心』は、選手やコーチ、スタッフに限らず、ファン、横浜の街すべてが結束し、1つのチームとなって日本一を目指すという思いが込められている。マリンブルーの重厚感ある書体が印象的だ。新スローガンについて三浦監督は、「選手時代に経験させてもらった優勝の喜びを、今度は監督として横浜の街、そしてファンのみなさまと一緒に分かちあえるシーズンにしていきたいので、一緒に戦いましょう!ヨ・ロ・シ・ク!!」とコメントを寄せている。

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熱いぜ!横浜DeNA(2012)

 球団創設1年目の2012年。中畑清監督が先頭に立ち、文字どおり火傷しそうなほどの熱量を持ってチームにゲキを飛ばした。選手を戦う集団に生まれ変わらせるために奔走する指揮官の情熱が見事に表現されていた。(T)

広島東洋カープ


バリバリバリ


バリバリバリッと打ち破る!

 近年の広島の場合、キャッチフレーズは「選手に向けた掛け声」というよりは、「ファンを巻き込んでチームをプロデュースするためのフレーズ」という意味合いが強い。 今季のキャッチフレーズは「バリバリバリ」(最後の“バリ”をより強調)。「バリ」は、「ものすごい」とか「とても」を意味する広島弁。この言葉と、チームのこの2年の低迷や世の中の閉塞感を打ち破っていこうとする決意を掛け合わせた、力強いフレーズとなっている。 また、「バリ」は「ねバリ」や「頑バリ」にも通じ、使いやすい言葉。「去年はバリ悔しい一年でした。今年は頑バリます」と、佐々岡真司監督以下ナインも低迷打破を誓っている。

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たった今このAKAの子舞いたった(2020)

つい昨年のものだが、ユニークさという意味ではこれの右に出るものはないだろう。上から読んでも下から読んでも同じという「回文」になっているのだ。この年はグッズの宣伝コピーなども回文で展開された。 (F)

東京ヤクルトスワローズ


真価 進化 心火


心に火を灯して突き進む

 3つの「シンカ」に、多くの意味が込められている。高津臣吾監督2年目のシーズンは、『真価』が問われる年だという思いを込めた。1年目にまいた種、つまり奥川恭伸ら若手が、成長の成果を見せるシーズンとするつもりだ。また、最下位に終わったことから、チームには『進化』が必要。全員が課題に向き合い、レベルアップしたプレーでファンを沸かせる。最後の『心火』は、チーム、そしてファンがともに心に火を灯し、一丸となって一つでも多くの勝利をつかみに行くという決意が込められた。指揮官は、自身の現役時代の勝負球になぞらえ「シンカ・シンカ・シンカー」と説明したが、これは茶目っ気たっぷりの高津監督らしい冗談である。

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燕進化(2016)

 優勝した翌年のもの。連覇を掲げ、一人ひとりの進化を目指した。シンプルな言葉だが、神宮でスタジアムDJを務めるパトリック・ユウさんが、力強く読み上げていたのが印象的。結果は5位だったが……。 (My)

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