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解説者のキャンプ着眼点

ロッテ打線は強化されるのか?ポイントは選手たちの「意識」【解説者のキャンプ着眼点・里崎智也[元ロッテ]】

 

識者の着眼点は──。解説者が独自の視点でキャンプの見どころをピックアップ。里崎智也氏は、ロッテのキャンプのポイントに選手とコーチ陣の“意識”を挙げる。
取材・構成=鶴田成秀 写真=BBM

井口監督[右]、今岡ヘッド[左]らが、松中臨時コーチの指導法を共有して継続性を持たせられるか


定位置争いのカギを握るのも打撃


 昨季リーグ2位となったロッテですが、チーム打率はパ・リーグどころか投手も打席に立つセ・リーグも含めて12球団で最も低い.235。当然、キャンプでも強化ポイントとなるでしょう。平成で唯一(2004年)、三冠王を獲得した松中信彦氏を臨時コーチとして招へいしたのも、打撃向上が狙いなのは明らか。ただ、一口に「打線強化」といっても、簡単ではありません。そもそも、課題は一人ひとり違う。なぜ、打てないのか、どうして結果が出ないのか。その原因はそれぞれだけに、練習の方向性も異なっていきますから。

 その中で共通するのは“意識”です。自分の課題と向き合い、何をどんなふうに改善していくか。ただ、この意識は何もキャンプに限ったことではなく、選手はシーズン中も、オフの間の自主トレでも常に考えていること。キャンプから始まる1年は、あらためて自分の課題に向き合っていくわけですが、そんな選手たちをサポートしていくのが指導者の役目になる。自分で分かっていながら体現できないからこそ、外からの目やアドバイスが必要になり、コーチ陣も選手たちの意識を“共通認識”することが必要になるのです。

 今年は、なおのこと。というのも、松中さんは“臨時コーチ”で、オープン戦やシーズン中も常に選手を指導することはできないため、松中さんの指導法や練習の意図を理解していないと、シーズン中に選手に助言を送るのも難しくなります。方針を変えるのも1つの手とはいえ、それでは松中さんを臨時コーチに呼んだ意味も減ってしまう。松中さんの指導が注目される一方、その指導にコーチたちも耳を傾けているのか。これも1つの注目点です。

 打撃向上を掲げるだけに、レギュラー争いも打撃勝負となるでしょう。そもそも開幕に照準を合わせられるのはレギュラーだけ。まずは定位置を奪わないことには試合に出られないのですから、2月1日がシーズンの開幕日と考えるべきです。今年はメジャーから遊撃手のエチェバリアが加わり、藤岡裕大も打たなければ出場機会を得られない。昨年、四番を打った安田尚憲だって、レアードが復帰すれば、一塁に回る可能性もあり、今度は井上晴哉との争いになる。守備力は拮抗しているだけに、打てる選手が守備に就くということが十分に考えられるとあって、内野陣の競争も激しさを増していくはず。ほとんどのメンバーが、“2月1日に開幕”という状況です。

 ましてやロッテのキャンプは12日まで。13日からは練習試合など実戦が組まれており、結果も求められ、定位置を争う面々のアピール合戦となるでしょう。コーチ陣から助言を受けながら、いかに打力を向上させていくのか。打撃勝負のサバイバルが展開されるとあって、2月からロッテ野手陣のバットに注目です。

私の二重丸 注目プレーヤー



安田尚憲[内野手/ロッテ] 昨季の経験が問われるシーズン
 昨季は我慢しながら四番で起用され続け、少々のことでは外さなかったのは、将来を見据えたから。そのため、今季も起用されることは濃厚ですが、優遇されるとしても開幕直後だけでしょう。勝つことが大前提。レアードが復帰すれば「打つほうを使う」となるのは当たり前です。昨季の経験を生かし、今季は結果を出すしかありません。どっしりと四番に座ることができるのか。チームの打撃向上を示す1つのバロメーターにもなりそうです。

PROFILE
さとざき・ともや●1976年5月20日生まれ。徳島県出身。右投右打。捕手。鳴門工高から帝京大を経て、99年ドラフト2位でロッテ入団。2年目の2000年に一軍出場を果たすと、05年の日本一、06年のWBC優勝に貢献。10年にもリーグ3位からの下克上日本一をけん引した。14年に現役引退。現在は野球解説者として活躍中

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