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飛躍のシーズンへ 光る新鋭 2021シーズンに飛び出す若手は?

 

開幕まで1週間あまり。出場機会を得るためにオープン戦でアピール合戦が続く中プロ2年目の“令和の怪物”こと佐々木朗希が、実戦デビューを果たすなど、新鋭が輝きを放っている。2021シーズンに飛び出す若手は誰だ。

3月12日の中日とのオープン戦。ロッテ・佐々木朗希が2019年10月のU18W杯以来、実に553日ぶりの実戦マウンドに上がった[写真=高塩隆]


佐々木朗希 実戦デビューで見せた2つの力


余力は十分
 入団から1年。本拠地・ZOZOマリンのファンの前で、ようやく投球を披露する場が訪れた。3月12日、中日とのオープン戦の6回から1イニング。2番手で“令和の怪物”こと佐々木朗希がマウンドに上がった。ただ、最速163キロを誇る男は、初の実戦マウンドで、すべてを見せたわけではなかった。

 結果から言えば、京田陽太を一ゴロ、阿部寿樹を遊ゴロ、ビシエドを見逃し三振と、打者3人に計12球を投じて無安打無失点。危なげない実戦初登板は、変化球はスライダーの1球のみで、最速153キロと余力十分の内容だった。登板前日には「正直、今から少し緊張をしています」と話すも、マウンドに上がれば力感のない投球フォームに柔らかな表情を見せる“脱力”での無安打投球は底知れぬ力も感じさせるもの。中でも右の長距離砲・ビシエドに対しての3球目には、151キロの高めの直球で空振りを奪うなど、ボールの伸びは抜群。オール直球勝負を挑み、最後は外角に制球されたボールで三振に斬って取った。そもそも、すべて150キロ超ながらスピードに物足りなさを感じる時点で異次元だ。井口資仁監督も「ちょっとピュッと投げたくらいで153キロ出しちゃうんですから」とあらためて期待するほどポテンシャルの大きさを示した。

ロッテ2年目/20歳/投手。打者3人に対して無安打。制球重視の投球で落ち着いたマウンドさばきを披露


「結果的に三振を取れたのと、やっぱり三者凡退で抑えることができたので、安心したのが一番」という収穫を得た初登板は、さらなる期待を抱かせる。落ち着いたマウンドさばきに、表示以上のキレ。初登板で2つの力を示した右腕だが、この日は投じなかった落差の大きなフォークだってある。リミッターを解除すれば、どんな投球を見せるのか──。開幕後は二軍での育成が濃厚も、3月19日以降のオープン戦で先発で2イニングを投げる可能性も出てきた。1年の準備期間を経た新鋭が、開幕後の“真の一軍デビュー”へ歩みを進めていく。

PROFILE
佐々木朗希 ささき・ろうき●2001年11月3日生まれ。190cm85kg。右投右打。大船渡高-ロッテ20(1)=2年

佐藤輝明 黄金ルーキー豪打連発!


阪神1年目/22歳/内野手[写真=早浪章弘]


 右打者のような飛球が、レフトポール際に飛び込んだ。3月14日の巨人戦(甲子園)の4回裏。巨人先発左腕・高橋優貴の143キロの真っすぐを振り抜き、オープン戦で12球団トップとなる4号ソロを左翼席へ運び、これが決勝点に。触れ込みはアマNO.1スラッガー。春季キャンプからその名に違たがわぬ打撃で注目を浴び、迎えたオープン戦。4本の本塁打は、いずれも鋭いスイングからものすごい打球音を残して放たれたもの。矢野耀大監督も「右打者(が引っ張った)みたいな打球」と絶賛。オープン戦の話題を独り占め状態だ。開幕スタメン、レギュラーは確実。あとはシーズンでどれくらいの成績を残すのか、に興味が移った。黄金ルーキーへの期待感がふくらむばかりだ。

PROFILE
佐藤輝明 さとう・てるあき●1999年3月13日生まれ。187cm94kg。右投左打。仁川学院高-近大-阪神21(1)=1年

秋広優人 日々成長で世界の王に迫る


巨人1年目/19歳/内野手[写真=湯浅芳昭]


 開幕まで2週間を切った時期まで生き残ることを誰が想像したただろうか。キャンプで打撃力をアピールして原辰徳監督の目に留まった200cm新人は、対外試合序盤戦こそ主力クラスの投球に苦戦したが、アジャスト。オープン戦でも全9試合中7試合(1試合は卒業式)に先発出場し、3月9日のソフトバンク戦(PayPayドーム)での適時打を含む4安打。開幕一軍どころか、1959年の王貞治以来となる高卒新人野手開幕スタメンの可能性も浮上している。

PROFILE
秋広優人 あきひろ・ゆうと●2002年9月17日生まれ。200cm95kg。右投左打。二松学舎大付高-巨人21(5)=1年

鈴木将平 指揮官もうなる積極的なスイング


西武5年目/23歳/外野手[写真=榎本郁也]


「持ち味を出してくれた」と辻発彦監督は目を細めた。3月10日の中日戦(ナゴヤ)、「一番・右翼」でスタメン出場した鈴木将平は3安打の猛打賞をマーク。積極的にスイングする姿に指揮官は高評価を下した。昨季は定位置をつかみかけたが、右足首を負傷。自らその座を手放したことに後悔が募る。「開幕一軍じゃなく、開幕スタメンを目指してやっている」。ほかの若手より抜きん出る巧みなバットコントロールで今年こそブレークする。

PROFILE
鈴木将平 すずき・しょうへい●1998年5月20日生まれ。175cm78kg。左投左打。(甲)静岡高-西武17(4)=5年

森浦大輔 無失点続けるルーキー左腕


広島1年目/23歳/投手[写真=毛受亮介]


 広島期待の「ルーキー投手三銃士」の一人。普段はおとなしそうな印象だが、マウンドに上がれば一転、度胸のいい投球を展開。球速は140キロ台ながら、右打者のインコースに絶妙の制球で思い切りよく投げ込んでいくクロスファイアが魅力だ。そのため外のチェンジアップも効果的になる。3月14日までの紅白戦、対外試合は6試合に各1回を投げ無失点、許した安打は計2本のみと好投を続けており、中継ぎ左腕としての起用が有力だ。

PROFILE
森浦大輔 もりうら・だいすけ●1998年6月15日生まれ。175cm72kg。左投左打。(甲)天理高-天理大-広島21(2)=1年

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