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セ・パ交流戦2021

熱戦FOCUS 西武・平良海馬&ヤクルト・石川雅規

 

若手の台頭で選手の勢力図も変動している。ここでは交流戦で輝いた2人の選手をピックアップする。

平良海馬 #61 興味があるのは”ゼロ”だけ


西武/投手 21歳[写真=川口洋邦]


 2点リードの9回表、一死から左前打を浴びても慌てない。カウント1-2からの4球目、キレ味鋭いカットボールで伊藤光を詰まらせ、二ゴロ併殺打。6月10日のDeNA戦(メットライフ)、西武・平良海馬は平然とゲームを締め、5セーブ目をマーク。これで開幕から31試合連続無失点となり、2リーグ制となった1950年以降では最長となる2016年の中日田島慎二に並んだ。

 日本タイ記録の記念球は移籍3年目でメットライフドーム初勝利を挙げた内海哲也に渡した。「僕はボール集めてないので大丈夫。初勝利のボールもどこ行ったか分からないですから」。“記念品”には無頓着。平良が興味を持つのは「ゼロに抑えてベンチに戻ってくる」ことだけだ。

 最速160キロの剛速球を持つが今季は全投球のうち63.1%がスライダー、カットボール、チェンジアップといった変化球。直球の割合は約37%だが、すべての球種を無走者時でも超高速クイックで投げ込む。素早い投球動作から投げ込む多彩な球種は打者にとって対応困難だ。13日の中日戦(メットライフ)では、ついに32試合の新記録を達成。“開幕から”を外すとプロ野球記録は06年阪神藤川球児の38試合連続無失点だが、藤川超えの可能性は十分ある。

石川雅規 #19 王者を翻弄した謙虚な41歳


ヤクルト/投手 41歳[写真=湯浅芳昭]


 プロ20年目の男だからこそ、交流戦1勝の重みが分かる。ヤクルトの41歳左腕が、史上最多タイとなる交流戦通算26勝目、自身通算175勝目を手にした。6月4日の西武戦(神宮)、そして11日のソフトバンク戦(PayPayドーム)と、今季の2勝は、いずれも交流戦で挙げたものだ。11日の試合はピンチもあったが、ベテランらしい、のらりくらりとかわす投球で6回を無失点。

「すごくいいバッターが多いので、ランナーをためての一発に気をつけようと思っていた。本当に中村(中村悠平)がいいリードをしてくれました」

 昨季王者である強力鷹打線を封じても、謙虚な姿勢は崩さない。「交流戦の勝敗は、レギュラーシーズンにとっても大事になってくる。与えられた試合を何とかという思いで投げ、勝利を手繰り寄せられてよかった」。

 チーム浮上の1勝のために、懸命に腕を振る。

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