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2021ドラフト特集 「10.11」を待つ有力候補チェック

球団担当が本命と対抗を予想 ドラフト1位はこの選手だ!【セ・リーグ編】

 

10月11日のドラフト会議まで1カ月を切った。各球団は戦略を立て、指名選手を絞り込んでいるはずだ。ここではドラフト1位の選手を球団担当が予想する。チームの補強ポイントに合った選手は誰なのか。競合覚悟か? 単独狙いか? まずはセ・リーグから紹介。

読売ジャイアンツ


【本命】小園健太
【対抗】風間球打

[左]小園健太・投手/市和歌山高/18歳 [右]風間球打・投手/明桜高/18歳


将来のエースが最有力候補 左のスラッガーも

 安定しない先発投手陣の強化は必須。中でも将来性が高く、かつ即戦力に近い評価で小園健太(市和歌山高)や風間球打(明桜高)らが上位候補に挙がる。特に今夏の甲子園で3度目の視察となった風間に対し、榑松伸介スカウト部次長は「スピード(球速)ばかりがクローズアップされますが、その日の状況に合った投球ができる。対応力の高さを確認することができました。1位候補です。(上位)12人には入る」と評価を高めている。右の先発は最重要補強ポイントで、即戦力なら廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)も1位候補だろう。

 次の世代を担う左のスラッガーも重要な補強ポイント。昨季2冠でリーグを代表する四番打者に成長した岡本の後輩でもある前川右京(智弁学園高)が今夏準優勝で力を証明した。左の大砲候補では、左腕としての評価も高い田村俊介(愛工大名電高)も候補だ。(S)

【PLAY BACK 2020】
 1巡目の入札では阪神に進んだ佐藤輝明(内・近大)を1位指名したが、安定のクジ運の悪さでこれを逃す。「左のスラッガー」の補強ポイントをカバーできる代役がほかにいないとのことから、もう1つの補強ポイントであった即戦力投手に転換し、156キロ右腕を指名した。

阪神タイガース


【本命】森木大智
【対抗】小園健太

[左]森木大智・投手/高知高/18歳 [右]小園健太・投手/市和歌山高/18歳


強いボールを持つ高卒投手と大学&社会人即戦力投手中心

 8月19日にスカウト会議を開き、高校生のドラフト候補の絞り込みを行った。ここ数年、ボールに力のある投手を獲得し、現在の投手陣の層の厚さにもつながっている。そこを考慮すれば、高校生で150キロを超える森木大智(高知高)や小園健太(市和歌山高)、さらに風間球打(明桜高)などの将来性豊かな右腕投手を指名する可能性は高い。高卒2年目の西純矢及川雅貴が育っており、彼らと将来の投手王国を作り出す可能性が高い。

 同時に即戦力投手もチームの士気を高めるためにも必要であるため、廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)や150キロ左腕で地元大学の黒原拓未(関学大)の指名も狙う。野手は若手の外野手の層が少し薄く、大砲候補の阪口樂(岐阜第一高)や福元悠真(大商大)などを上位指名する可能性がある。(H.s)

【PLAY BACK 2020】
 将来、打線の中軸を担う左の大砲候補が必要だった。そこへ小学生時代にタイガースジュニアとして活躍し地元出身のアマチュアNo.1スラッガーが現れた。それが佐藤輝明。ドラフト1位指名競合は必至の中、将来のスター候補生として4球団の抽選の末、矢野燿大監督が引き当てた。

中日ドラゴンズ


【本命】正木智也
【対抗】ブライト健太

[左]正木智也・外野手/慶大/22歳 [右]ブライト健太・外野手/上武大/22歳


投手<内野手<外野手 求む!即戦力スラッガー

 補強ポイントは投手よりも野手。そして即戦力のスラッガータイプだ。俊足巧打の左打ちの選手は大勢いるから、長打力が持ち味の大砲を指名したい。重点を置きたいのは内野手ではなく外野手。今年で44歳の福留孝介、36歳の大島洋平、33歳の福田永将らの後釜は急務。候補となるのは、内外野を守れる正木智也(慶大)、身体能力の高いブライト健太(上武大)だろう。

 ただし、地元の東海地区にも見逃せない選手がいる。高卒だけに即戦力とはいかないが、左打者の阪口樂(岐阜第一高)は候補の一人。野球センス抜群の二刀流だが、プロが注目するのはスケールの大きい打撃力。球団としては獲得しておきたい選手だ。それでも1位が打者とは限らず、2年連続で高校生投手の可能性もある。その場合は小園健太(市和歌山高)、森木大智(高知高)、達孝太(天理高)を狙う。(TM)

【PLAY BACK 2020】
 当初は栗林良吏(投・トヨタ自動車)の1位指名が濃厚だったが、ドラフト直前に高橋宏斗がプロ志望届を提出。数年後のさらなる投手王国づくりを目指し、即戦力よりも将来性を重視して方向転換した。これで根尾昂石川昂弥と3年連続で東海地区出身の高卒選手指名となった。

横浜DeNAベイスターズ


【本命】隅田知一郎
【対抗】小園健太

[左]隅田知一郎・投手/西日本工大/22歳 [右]小園健太・投手/市和歌山高/18歳


先発投手の補強が最優先 即戦力と実力派高校生狙い

 DeNAは2015年入団の山崎康晃から今永昇太濱口遥大東克樹上茶谷大河と毎年のように即戦力投手を1位指名し、実際に能力を開花させてきた。今秋のドラフトも同様の方針なら、本命の1人になりそうなのが隅田知一郎(西日本工大)だ。最速150キロの左腕は、間違いなく先発ローテーションの一角を担えるだろう。

 一方でチームの現状に目を向ければ、今永が左肩クリーニング手術から復帰を果たし、東や入江大生とドライチの手術組も来季の完全復活が見込めそう。現有戦力が充実する未来図を描き、小園健太(市和歌山高)や達孝太(天理高)といった高校生投手を指名する可能性も十分にある。阪口皓亮京山将弥中川虎大、野手でも森敬斗ら高卒選手が早くから一軍の舞台を経験する。小園や達も決して、将来性だけに期待しているわけではない。(T)

【PLAY BACK 2020】
 前年に内野手の森敬斗を1位で指名したことで、長年の補強ポイントだった二遊間の課題がクリア。昨年はDeNAの過去のドラフト戦略における基本方針「先発投手、即戦力」に立ち返ることができた。大卒右腕、入江大生を得意の「一本釣り」で交渉権を獲得している。

広島東洋カープ


【本命】山下輝
【対抗】隅田知一郎

[左]山下輝・投手/法大/22歳 [右]隅田知一郎・投手/西日本工大/22歳


右の長距離砲から即戦力投手に方向転換か

 チームの長期的展望からは、「鈴木誠也のあとを継ぐ右の長距離砲」がテーマだったが、今年は該当する選手が少ないこと、また、チームの不振で長期的展望を優先する余裕がなくなってきたことから、即戦力投手に方向転換する可能性が高いとみられる。

 そうなると、9月10日現在、チーム最多勝が4勝にとどまる左腕の1位指名が有力だろう。市場を見ても今年は好素材が多い。競合の危険を減らし、一本釣りを狙うとすると、山下輝(法大)、隅田知一郎(西日本工大)、黒原拓未(関学大)らの大学生、社会人では森翔平(三菱重工West)などが候補に挙がってくる。一方、「右の長距離砲」では、大学生で正木智也(慶大)、高校生で吉野創士(昌平高)、有薗直輝(千葉学芸高)あたりがリストアップされているとみられ、チャンスありと見れば、そちらを狙う可能性も。

【PLAY BACK 2020】
 1位候補には主に即戦力投手をリストアップ、1位競合を避けるため、方針を公表せず、ギリギリまで他球団の動向を注視した。栗林良吏の指名が予想された中日が、高橋宏斗(投・中京大中京高)に方向転換したことで栗林の一本釣りが濃厚となり、社会人No.1投手の単独指名に成功。

東京ヤクルトスワローズ


【本命】小園健太
【対抗】森木大智

[左]小園健太・投手/市和歌山高/18歳 [右]森木大智・投手/高知高/18歳


将来を見据えて高校生中心 左打ちの野手補強も必要

 今年も投手が中心となるはずで、特に高校生投手の指名が多そうだ。近年は奥川恭伸金久保優斗ら自前の高卒投手が活躍しており、野手も主軸の山田哲人村上宗隆は高卒。将来性と伸びしろを十分に秘めた高校生を獲得し、育成していく方向になるだろう。指名候補には小園健太(市和歌山高)や森木大智(高知高)ら右の速球派を中心に、松浦慶斗(大阪桐蔭高)や秋山正雲(二松学舎大付高)と左腕の名前も挙がる。とはいえ、即戦力投手も視野にある。廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)も上位候補だ。

 また、青木宣親川端慎吾ら左打ちの野手が高齢化してきている。数年後を見据え、彼らの後継者となれる左打ちの野手の指名もあるだろう。これには阪口樂(岐阜第一高)といった高校生の中から、左の好打者がリストアップされている。(My)

【PLAY BACK 2020】
 早川隆久(投・早大)、鈴木昭汰(投・法大)と2連続で抽選を外したものの、一貫して変わらなかったのは“即戦力投手”を獲得するという方針。2位でも大卒左腕の山野太一を指名したことからも、チームのウイークポイントを補おうとする意志の見える指名だった。

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