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日本人唯一の勲章、ワールドシリーズMVP 松井秀喜のポストシーズンを振り返る

 

 現在、ポストシーズンの熱い戦いが繰り広げられているメジャーリーグ。日本人選手が所属するチームでは澤村拓一のいるレッドソックスが出場しているが、これまでにも多くの日本人選手たちが世界一を目指して戦ってきた。その中から今回は、ヤンキースでワールドシリーズMVPにも輝いた松井秀喜のポストシーズンを振り返る。

ワールドシリーズでMVPを獲得した松井


大爆発した2004年のリーグ優勝決定シリーズ


 10月8日(日本時間9日)のア・リーグ地区シリーズ第2戦で、レッドソックスのキケ・ヘルナンデス外野手が本塁打1本、二塁打3本、単打1本と5安打の大活躍を見せた。ポストシーズンでの1試合で長打4本を含む5安打は松井秀喜以来となる史上2人目の記録。松井はヤンキース時代の2004年、レッドソックスとのア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦で、本塁打2本、二塁打2本、単打1本で史上初となる「4長打を含む5安打」をマークしていた。

 松井は2003年にメジャー移籍を果たすと、ヤンキースで7年、エンゼルス、アスレチックス、レイズでそれぞれ1年を過ごして計10シーズン。レギュラーシーズンでは1236試合に出場して打率.282、175本塁打、760打点の成績を残した。2年目の2004年には31本塁打をマークするなど日本人スラッガーがメジャーでも通用することを示した功績は大きいが、メジャーでの松井といえばポストシーズンでの活躍も印象的だ。

 メジャー1年目の2003年にはマーリンズとのワールドシリーズ第2戦でワールドシリーズ日本人初となる本塁打を放つなど、ポストシーズンで2本塁打、11打点、打率.291の活躍。冒頭で紹介した記録が生まれた2004年のポストシーズンはさらに好調で、11試合で51打数、21安打、3本塁打、13打点、打率.412をマーク。ア・リーグ優勝決定シリーズでは史上最多タイとなる14安打、28塁打と打棒が爆発した。

6戦3発、1試合6打点でヤンキースを9年ぶり世界一に導く


 松井のポストシーズンを振り返るとき、忘れてはならないのがヤンキースでのラストイヤーとなった2009年だ。レギュラーシーズンではメジャーで自身2番目に多い28本塁打を放ち、チーム3位の90打点を叩き出して地区優勝に貢献。ポストシーズンに入っても主に「5番・指名打者」として打線の軸に座ると、チームは松井のメジャー1年目であった2003年以来6年ぶりとなるワールドシリーズに駒を進めた。

 前年度覇者のフィリーズとの対戦となったワールドシリーズでは、第2戦で宿敵ペドロ・マルティネスから決勝のソロ本塁打。第3戦から第5戦まではフィリーズの本拠地で指名打者が使えないため代打での出場となったが、第3戦では2戦連発となる本塁打をマーク。限られた出番のなかでも確実に結果を残していった。

 そして、ヤンキースが3勝2敗と大手をかけて迎えた第6戦。松井は指名打者でスタメンに復帰すると、2回にマルティネスからこのシリーズ2本目となる先制の2ラン本塁打。さらに3回に2点適時打、5回にも右中間への2点適時二塁打を放ち、ワールドシリーズタイ記録となる1試合6打点の大爆発。名門の9年ぶり世界一を決める活躍を見せ、日本人選手としては史上初となるワールドシリーズMVPに輝いた。

 6度の出場で56試合、205打数、64安打、10本塁打、39打点、打率.391。ポストシーズンでは特に勝負強い打撃を見せた松井だが、なかでも2009年ワールドシリーズでの活躍はファンの記憶に強く残る。2021年、大谷翔平の登場によって31本塁打の日本人シーズン最多本塁打記録は塗り替えられたが、ワールドシリーズMVPの偉業は今も日本人選手ではただひとりの勲章だ。

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