日本シリーズ進出を懸けてセ・リーグ、パ・リーグの上位3球団が争うクライマックスシリーズが始まった。まずは10月8日にファーストステージが開幕。横浜スタジアム、PayPayドームでDeNAと阪神、ソフトバンクと西武が熱戦を繰り広げた。


　良くも悪くも打線のカギを握るのが近本光司だ。1勝1敗となった時点で四番・大山悠輔、五番に抜てきした原口文仁が無安打。六番・佐藤輝明も1安打のみ。近本は初戦は5回一死満塁で中前へ2点タイムリーを放ち、その2点で勝利をつかんだ。「もう勝つだけで、勝てたらいいので、そのことだけですね」と集中力と気合は十分だ。

　当然、DeNA投手陣も簡単には打たせてくれない。第2戦では0対1と追いかける7回表。一死三塁の場面。代わったばかりのリリーフ・伊勢大夢の初球を強振も三邪飛に。次の四番・大山も一打が出ず、無得点に終わり0対1で敗戦。

　このシリーズは明らかに近本がポイントゲッターだ。第3戦1対2も6回無死二塁と同点のチャンスでタイムリー二塁打を放った。その後一死二塁となり原口文仁が左前に逆転タイムリーで近本がホームを踏んで3対2と逆転。この得点を強力投手陣が守り抜き、ヤクルトへの挑戦権を得た。

　実は最終戦とその前の2試合でヒットが出ずにシーズンを終了していた。そこから微妙に打撃フォームを変えて臨んだCS。その初戦で3安打。第2、3戦で1安打ずつと取り組んだ方向性は間違っていなかった。2019年矢野政権最初のドラフト1位。矢野門下生でもあり、いまや打線で欠かせない存在になっている。「僕らの野球、矢野野球をしっかりできたら勝てると思う」と積極性を失わず、覇者ヤクルトを倒し、日本一に。そのためにも安打製造機がまだまだ打ちまくるはずだ。

『週刊ベースボール』2022年10月24日号(10月12日発売)より