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2023ドラフト特集 中間報告

【2023ドラフト】スカウティング最前線 ドラフト1位を徹底分析 見えた「6つの方向性」

 

10月26日に開催されるドラフト会議。各球団は全国津々浦々で視察したスカウトの資料を基に、幾度も会議を行い、指名選手を絞り込んでいく。対象選手のパフォーマンスと、現場の状況から見えてきた、1位候補12選手の方向性を探っていく。

<Check Point1>東都大学リーグに好投手ズラリ


写真左から専大・西舘、青学大・下村、中大・西舘、青学大・常廣、東洋大・細野、亜大・草加、国学院大・武内。一部と二部による入れ替え戦のある生存競争の激しい東都で、実力を磨いてきた[写真=矢野寿明]


 侍ジャパン大学代表候補選考合宿が6月17日から3日間にわたって行われた。49人のうち投手20人が参加。東都大学野球連盟所属の選手は7人と、一大勢力を形成した。

 18年ぶりに優勝を遂げた全日本大学選手権で、最高殊勲選手賞と最優秀投手賞を受賞した153キロ右腕・常廣羽也斗が筆頭格。明大との決勝で完封し、ドラフト1位の立場を不動のものにしたと言っていい。常廣とともに先発の両輪を担った153キロ右腕・下村海翔も安定感抜群。2021年春以来の一部復帰を果たした東洋大の155キロ左腕・細野晴希は最終学年で「好投手」から「勝てる投手」へ脱皮した。国学院大の149キロ左腕・武内夏暉はリーグ優勝の昨秋にMVP受賞と申し分のない実績。亜大・草加勝は今春、リーグ最多6勝を挙げた。創志学園高では西純矢(現阪神)の控えで、大学で急成長した。中大の155キロ右腕・西舘勇陽はクイックモーションに長けており、ストレートのキレが抜群。東都二部リーグながら専大の152キロ右腕・西舘昂汰も潜在能力の高さが評価されている。今春の細野と同様、秋は一部復帰を手土産に卒業したいところだ。

 この東都7人衆でドラフト1位を占める可能性も十分にありそうだ。

<Check Point2>実績No.1の超高校級左腕


大阪桐蔭高の148キロ左腕・前田は経験、実績とも十分であり「世代No.1」の座は揺るがない[写真=田中慎一郎]


 高校生左腕を1位指名するならば大阪桐蔭高・前田悠伍で間違いない。2年春のセンバツ優勝、同夏8強、主将の今春は4強と3季連続甲子園出場。最速148キロのストレートは球速表示以上の伸びがあり、ゲームメークにも長ける。4月のU18代表候補合宿以降は、強化期間に入り、夏に向けてはスケールアップが期待。5年ぶりの全国制覇へ導く覚悟だ。

<Check Point3>「15年ぶり」ドライチへの期待


上武大・進藤は3、4年時の侍ジャパン大学代表で正捕手を務めている[写真=矢野寿明]


 大学生捕手のドラフト1位は2008年に日本ハムから指名を受けた東洋大・大野奨太(現中日)が最後である。「15年ぶり」への快挙が期待されるのが、上武大の強肩強打捕手・進藤勇也だ。筑陽学園高では3年春、夏の甲子園に出場。当時、プロ志望届を提出していれば、指名はほぼ間違いなかったとされる。大学で心技体を磨き、堂々の1位候補である。

<Check Point4>タイトル狙える社会人安打製造機


ENEOS・度会は横浜高から入社3年目。高卒のドラフト解禁年に、さらなるアピールを誓っている[写真=矢野寿明]


 都市対抗が7月14日、東京ドームで開幕する。前年優勝・ENEOSは同14日の開幕試合(対バイタルネット)に登場。高卒3年目の度会隆輝のバットに注目だ。9年ぶりに黒獅子旗を手にした昨年は打率.429、4本塁打、11打点で橋戸賞、打撃賞、若獅子賞を受賞。ヤクルトで活躍した父・度会博文氏の背中を追ってきた。NPBで首位打者を狙えるとも言われる、バットコントロールが秀逸だ。

<Check Point5>高校生を超越したポテンシャル


花巻東高・佐々木は6月の東北大会終了時点で高校通算134本塁打。パワーは規格外である[写真=田中慎一郎]


 高校通算本塁打は練習試合を含めた数字であり、あくまで参考記録だ。花巻東高・佐々木麟太郎は歴代1位とされる早実・清宮幸太郎の111本塁打をはるかに上回る、134本塁打(今春の東北大会終了時点)を放っている。184cm113kgと恵まれた体格からのスイングスピードは規格外だ。監督である父・洋さんと2年春以来の甲子園出場が目標。進路は、夏が一区切りしてから表明すると見られている。

<Check Point6>東京六大学リーグの“打点王”


明大・上田は主将としてチームの勝利が最優先。スタンドインできるパワーはあるが、場面によって、打撃スタイルを使い分けることができる[写真=川口洋邦]


 軽打あり、長打あり。1年秋から明大の四番を任されている上田希由翔は、状況に応じた打撃が持ち味だ。勝負強さは必見で、東京六大学リーグ戦通算62打点は、歴代16位タイ。飛ばす力を秘めるが、あえてチーム打撃を心掛ける姿は好印象。通算82安打と超一流の証しと言われる3ケタの大台も見えてきた。プロの世界は「対応力」がカギであり十分、対処できる能力がある。

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