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2023ドラフト特集 「10.26」を待つ逸材チェック

【2023ドラフト】補強ポイントのターゲット「大学生投手」が最有力!? ドラフト1位指名予想 150キロ超の「即戦力」が目玉候補

 

高校日本代表は8月28日、大学日本代表と壮行試合(東京ドーム)を戦い、散発3安打で敗退(0対8)した。大学生は登板10投手が、持ち味を発揮。2023ドラフトの勢力図が見える一戦だった。

[左]青学大・下村海翔[右]亜大・草加勝


 散発3安打。二塁を踏んだのは初回の1度のみの高校日本代表・馬淵史郎監督(明徳義塾高監督)は、0対8と敗退した試合後、「球威があり、140キロ超のツーシーム、フォークは、高校生は見たことがない」とお手上げ状態だった。だが、台湾への出発前に一流投手の軌道を見られたことが、第31回WBSC U-18ベースボールワールドカップでの初の世界一につながったのは言うまでもない。

[左]国学院大・武内夏暉[右]大商大・上田大河


 8月28日の壮行試合で完封リレーを飾った大学日本代表10投手のインパクトは絶大だった。青学大・下村海翔が緩急自在の投球で圧倒すると、国学院大・武内夏暉、東洋大・細野晴希、青学大・常廣羽也斗は自己最速を更新。細野は3キロ更新の158キロを表示すると、東京ドームはどよめいた。この日はコンディション不良で欠場したが、明大・村田賢一の「安定感」も高く評価されている。

東洋大・細野晴希


 ネット裏で視察した広島苑田聡彦スカウト統括部長は「投手に余裕のあるチームはともかく、即戦力に近い投手を補強したい球団は、大学生に(1位入札)するのでは……。(抽選で)外れたチームが、高校生の素材の良い選手に行くのでは」と見通しを語った。

[左]名城大・岩井俊介[右]九州共立大・木村仁


 日本ハム・大渕隆GM補佐兼スカウト部長は「高校生と大学生が同じ状況で対戦するのは分かりやすい。見えるものが見えた。(上位指名は)大学生投手中心かと思いますが、逆に避けていく戦略もある。それが、ドラフトです」と語った。

[左]桐蔭横浜大・古謝樹[右]明大・蒔田稔


 ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスクは「今年の大学生には、将来の先発ローテの軸になれる投手が多い。軸がいれば、大型連敗はない。4人ぐらい獲得したいです(苦笑)」と話した。

 どのチームも投手補強は、毎年のテーマだ。23年の「大学生投手ドラフト」は、現実味を帯びてきた。

[左]青学大・常廣羽也斗[右]明大・村田賢一※コンディション不良により欠場


【高校日本代表・壮行試合結果】
8月28日 東京ドーム

(高)前田、●森、矢野、安田、木村、東恩納、高橋-新妻、尾形
(大)下村、草加、武内、○上田、細野、岩井、木村、古謝、蒔田、常廣-進藤、宮崎、有馬

「高校NO.1」を証明 前田悠伍(大阪桐蔭高)の勝負魂


今夏は自身4季連続甲子園出場を逃したが、侍ジャパンU-18代表では存在感を発揮。初の世界一へと導き、金メダルを手に9月11日の優勝会見に臨んだ[写真=田中慎一郎]


 2年春のセンバツで優勝、同夏は8強、主将として臨んだ今春は4強。夏の全国制覇を目指すも、大阪大会決勝で履正社高に惜敗した。しかし、前田悠伍の高校野球には続きがあった。侍ジャパンU-18代表としてU-18W杯(台湾)に出場し、エースとしてチームを世界一へと導いた。

 台湾で視察していた日本ハム・大渕隆GM補佐兼スカウト部長は「大事な試合は前田。監督が描いたとおりに動いていたのは立派です。大阪桐蔭、ジャパンでもチームを背負っていた。一度、7月に終わったが、もう一度、調整してきたのは素晴らしい」と評価した。ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスクは「1年秋から主戦として投げ、こちらも『もっと伸びるのでは』と過剰な期待をかけてしまった。冷静に見ても高校生トップクラス。日の丸のエースですし、間違いない」。1位候補は揺るがない。

高校通算140本塁打 佐々木麟太郎(花巻東高)の決断は!?


今夏の甲子園では仙台育英高との準々決勝で敗退。試合後は大粒の涙を流した。今後の進路の動向に注目が集まる[写真=川口洋邦]


 2年春以来、自身2回目となった今夏の甲子園は仙台育英高との準々決勝で敗退。最後の打者で、一塁ヘッドスライディングした試合後、佐々木麟太郎は進路について「まだまったく考えてない。今後のことは岩手に戻ってから」と明言を避けた。プロ志望届を提出すれば、ある球団幹部は「上位候補」と評価するが、進学の可能性も残す。日本の大学だけではなく、アメリカの大学への進学の可能性も残していると言われる。

 佐々木はかねてからMLB志向が強い。幼少時から花巻東高の先輩であるブルージェイズ・菊池雄星、エンゼルス・大谷翔平が身近におり、渡米へのあこがれを持つのも、自然の流れだ。アメリカの大学へ進めば、大学2年でMLBドラフトの対象。指名を受けた際、翌年以降の通学を希望した場合は、球団が学費を負担するケースもあるという。また、大学4年を経て、MLBのほか、NPBドラフトを目指す道もある。ある球界関係者は「語学を学ぶことができ、国際人として、選択の幅が広がります。将来的にはメリットしかない」と語る。18歳の決断から、目が離せない。

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