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2023ドラフト直前情報

【2023ドラフト直前情報】「豊作」ゆえの非公表? 各球団の思惑やいかに。

 

「運命の一日」が目前に迫ってきた。ここでは、本誌締切日の10月22日までの各球団の動き、最新情報を交えながら、今ドラフトの見どころを探っていこう。
写真=BBM

<大学生>常廣羽也斗[青学大/投手]


 ベールに包まれたまま、静かにそのときを迎えることになりそうだ。10月26日に控えるドラフト会議。13日に広島が12球団最速での1位指名選手を公表したものの、それに続く球団は一向に現れず。「静観」の動きがしばらく続いている。(※10月24日に西武武内夏暉投手の1位指名を公表)

 昨年はドラフト会議前日までに計9球団が1位指名公表の異例事態。これは逆指名や自由獲得が廃止された2007年以降では最多であった。目玉級の選手が少なく、補強ポイントに合致した選手を確実に獲得したいという競合回避の狙いも見え、結果的に競合したのは浅野翔吾(現巨人)、荘司康誠(現楽天)の2人のみ。ファンからすれば、少しワクワク感に欠けるドラフトでもあった。

 それに比べ、今年は蓋を開けてみなければ分からない展開に。各球団の編成部にとってはハラハラだが、ファンは昨年以上のワクワク感を持って当日を迎えることになりそうだ。そんな傾向となったのは、目玉級の選手がずらりと並ぶ「豊作」がゆえ。1位と外れ1位との能力差が小さければ、競合覚悟で指名に踏み切ることができる。もちろんベストな指名とするために、各球団は直前まで熟考を重ねることになるが、その「豊作」ぶりはうれしい悩みでもあるだろう。

 逸材ぞろいの今ドラフト。一番の見どころは大学生投手の行方だ。広島が1位指名を明言した常廣羽也斗(青学大)をはじめとする東都大学連盟所属の“東都7人衆”は全員が1位候補。常廣と同じ右腕では、草加勝(亜大)、西舘勇陽(中大)、下村海翔(青学大)、二部所属の西舘昂汰(専大)はいずれも先発として4年秋は防御率1点台で終えた。

<大学生>細野晴希[東洋大/投手]


 左腕では最速158キロの細野晴希(東洋大)、今秋はベストナインと最優秀防御率の2冠達成の武内夏暉(国学院大)も1位候補の評価が揺るがぬ投球を最後まで見せた。

 公表こそしていないが、1位指名が大学生の即戦力投手という動きは続出している。その年のNO.1を指名する方針の日本ハム、1位指名は非公表の阪神ソフトバンク中日なども基本線は大学生投手の指名に踏み切る見込みだ。歴代のドラフトをさかのぼれば、同一連盟からの1位指名は4人が最多。その記録が更新される可能性は高い。“東都7人衆”はどの球団が交渉権を得るのか。

<高校生>前田悠伍[大阪桐蔭高/投手]


 大学生投手以外に目を向ければ、最大の注目は前田悠伍(大阪桐蔭高)か。1年秋から主戦投手としてマウンドに立ち続け、今夏はU-18W杯で日の丸を背負い世界一に導く好投を披露。早くから先発ローテーションを守る投手として台頭することが期待される。

<社会人>度会隆輝[ENEOS/外野手]


 社会人では類まれなる打撃センスを誇る左の好打者・度会隆輝(ENEOS)に注目が集まる。即戦力でありながら、高卒3年目の21歳と若さも魅力だ。度会以外にも各カテゴリーに左の好打者がそろう。高校通算140本塁打の佐々木麟太郎(花巻東高)がアメリカ留学を決断も、同62本塁打の真鍋慧(広陵高)、東京六大学リーグ歴代4位の74打点を挙げた上田希由翔(明大)らはスラッガー候補として期待だ。

 1位指名は12球団同時入札。2位はセ・リーグ最下位の中日、パ・リーグ最下位の日本ハムと指名が続く。軒並み1位指名が非公表のため、一極集中で競合する可能性もあるが、果たしてどうなるか。下記表は楽天が新規参入して以降の1位くじの結果。くじの相性は球団によって大きく差が出るが、笑うのはどこか。

2005年以降のドラフト1位くじ勝率


 1位指名だけがドラフトではないのは周知の事実である。今年は千賀滉大(ソフトバンク→メッツ)が育成ドラフト出身初のメジャー・リーガーにもなった。来季からファーム拡大のため、獲得数が増えることも予想される。「10.26」、運命の1日から目が離せない。

『週刊ベースボール』2023年11月6日号(10月25日発売)より

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