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2024ドラフト直前展望

【2024ドラフト番付】好遊撃手・宗山塁(明大)に要注目! 1位入札は史上最多タイ8球団も!? 154キロ左腕・金丸夢斗(関大)も競合必至

 

昨年のドラフトは東都大学野球連盟所属の投手7人が1位指名、計9人の大学生が最上位で呼ばれた。今年は第1回入札で、大学生2選手に評価が二分しそうだ。20年に一人の遊撃手と154キロサウスポー。競合を回避する球団は強打外野手、159キロ右腕に移行する可能性も。番付で2024年の有力選手の順位付けをする。

■2024ドラフト番付【最終版】 ※△は投手は左投げ、野手は左打ち


横綱2人は重複不可避


 東の横綱は、不動である。明大の遊撃手・宗山塁は2年生だった2022年秋に「今年のドラフトでも1位指名確実」と、すでに複数のプロ関係者は最大級の評価をしていた。1年後、23年秋もその流れは変わらず、24年に待望の解禁年を迎えた。

 1年春の途中から、選手層の厚い明大で遊撃のレギュラー。なぜ、定位置をつかんだかと言えば安定した守備力があったからである。場数を踏んでいく中で、打撃センスも磨かれ、安打量産。3年秋までに東京六大学リーグで94安打を放った。

 明大・高山俊(24年はオイシックス新潟在籍)の持つ131安打の連盟記録更新が期待された。ところが、主将で迎えた2月末のオープン戦で、右肩甲骨骨折で離脱。全治3カ月の診断も、驚異的な回復力で開幕には間に合わせたものの、3カード目を迎える前のオープン戦で右手中指第一関節を骨折。残る8試合を欠場し、チームもV逸と不本意なシーズンを過ごした。5試合で4安打。記録更新への挑戦も事実上、消滅してしまった。

 治療に専念し、夏場はもう一度、体を作り直し、この秋はレベルアップして神宮に戻ってきた。慶大1回戦ではリーグ史上34人目の100安打を達成し、同2回戦では通算10本塁打。軽快な遊撃守備もさらに精度が増し、何度もスタンドの観衆をうならせた。ドラフトへの最終確認に訪れたNPB関係者も、神宮のネット裏スタンドで安堵の表情を見せていた。あとは指名するか否かの判断を迫られている中で、10月11日、宗山の出身地である地元・広島が1位指名を公表。今後も増える可能性は十分にある。

 今年の2月14日には、井端弘和監督が指揮する侍ジャパントップチームに、大学生4人の1人に選出(チーム合流後に右肩甲骨骨折が判明し、3月上旬の欧州代表との強化試合は欠場)。かつての名遊撃手・井端監督はNTT東日本コーチ時代から宗山の野球センスに着目し、気にかけてきた。プロも認める超逸材だ。

 過去のドラフトにおける最多競合は8球団(1989年の新日鉄堺・野茂英雄、90年の亜大・小池秀郎)。好投手は毎年のように出るが、将来のチームの顔となる宗山のような遊撃手はなかなか出てこない。「20年に一人」と言われており、競合覚悟で入札に踏み切る価値は十分にある。

 西の横綱は関大の154キロ左腕・金丸夢斗だ。投手補強を最優先とする球団が注目している。数字は正直だ。4年春までに関西学生リーグ224回2/3で39四死球、294奪三振。安定したパフォーマンスを発揮するのは、ベンチとしてはこの上ない安心感がある。今春は腰の骨挫傷でシーズン途中離脱し、リハビリを経て、秋は救援で実戦復帰した。1年目から先発ローテーションとして計算できるだけに、複数球団が重複することはほぼ確実だ。

コロナ禍を経て、昨年のドラフト会議は5年ぶりに観客が入場する従来の形に戻った。今年も指名をめぐり、多くのドラマが繰り広げられる[写真=高原由佳]


有望な高校生右腕に注目


 大関2人は単独1位指名候補だ。右の強打の外野手である青学大・西川史礁は一発で仕留める勝負強さは必見である。愛知工大の159キロ右腕・中村優斗はパワーピッチングを前面に、落ちる変化球もウイニングショットとして兼ね備える。ここまで挙げた4人は、今年3月の「井端ジャパン」に選出された実力者だ。

 関脇に配置した大商大・渡部聖弥は右の強打者。明大・宗山とは広陵高のチームメートで、大商大を通じて厳しい環境で育ってきた心技体も武器である。東海大相模高の198cm左腕・藤田琉生は、異次元の角度から最速150キロで、大型サウスポーの評価は夏の甲子園で急上昇した。報徳学園高・今朝丸裕喜は2、3年のセンバツで準優勝を経験し、侍ジャパンU-18代表でもエースとして活躍。福岡大大濠高・柴田獅子は甲子園出場がないが、投打でセンス抜群であり、二刀流にロマンを秘める。小結4人も魅力的。前橋商高・清水大暉は大型右腕、花咲徳栄高・石塚裕惺は「高校NO.1野手」の呼び声高い。環太平洋大の153キロ左腕・徳山一翔の球質は一級品。捕手補強を考えている球団は日本生命・石伊雄太を最上位で獲得しておきたいところである。三役以上の12人がドラフト1位候補だ。

 番付外にも触れておく。桐朋高・森井翔太郎は最速153キロ、高校通算45本塁打のポテンシャルで上位候補だったが、かねてから「メジャー志向」が強かった。プロ志望届を提出した上で、MLBの数球団と面談。同校はNPBドラフトにおける「指名回避のお願い」の文書を各球団に送付している。本人、家族、指導者を含めて、その意思が固いことから、各球団は指名はしないものと見られる。交渉が合意に達すれば、早ければ来年1月中旬以降に契約の運びとなる。また、西武巨人オリックスでNPB通算525本塁打の清原和博氏を父に持つ慶大・清原正吾は今秋に2本塁打。その動向が注目される。

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