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【2018年に輝きを放つ若手】12球団の“秘密兵器” セ・リーグ編

 

定位置奪取とはならずとも、素質が光る若き逸材は各球団に潜んでいる。ここでは編集部がイチオシする今季中にブレークが予想される12球団の“秘密兵器”たちを一挙に掲載しよう。
写真=BBM ※成績・記録は3月11日現在

阪神・高橋遥人 ズドーンとくる直球


一軍昇格予想時期! 4月初旬に先発デビュー


 金本監督から記者へ「すごいと思わん?」と逆質問だ。3月4日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)の4回中継ぎで昨季の王者を圧倒する2回無安打無失点の投球を見せた。28球を投げた中で21球が真っすぐ。キレ味十分の直球は強力鷹打線に外野まで飛ばさせなかった。

「なかなか狙ってもジャストミートできないと思うよ」と金本監督も絶賛を惜しまない。新人合同自主トレでのブルペンを視察して一目ぼれした。だが、肩の筋力が弱いと診断され春季キャンプは二軍で調整させ肩の強化を進めている。「肩まわりの状態が万全やったら、間違いなくローテにいれますよ」と言い切るくらいほれ込んでいる。強化が終わったとき、虎ファンを熱狂する投球が見られるはずだ。

DeNA・楠本泰史 一振りで決める勝負強さ


一軍昇格予想時期! 左の代打として開幕一軍


 ドラフト8位からの下克上だ。侍ジャパン大学代表で四番を担った打撃を磨くために、一軍キャンプで必死にバットを振ってきた。センターを中心にシュアに打ち返す非凡な才能はすぐにラミレス監督の目の留まり、「予想外」と司令官をうならせた。オープン戦6試合で8打数5安打1本塁打、打率.625と少ないチャンスをモノにし、左の代打として開幕一軍が近づいている。将筒香嘉智桑原将志梶谷隆幸のサポートから、将来は外野レギュラーを狙える逸材だ。「一つのミスでいつ(二軍に)落とされるか分からないのがプロ。できることを精いっぱいやることを忘れず、がむしゃらにやっていく」。同じ左打者で2年目の佐野恵太とともに、ウイークポイントであった代打陣の層を厚くする。

広島・塹江敦哉 150キロ超えサウスポー


一軍昇格予想時期! 先発ローテが崩れる夏場


 作季限りで現役を引退した江草仁貴氏が、特に潜在能力を買っていた左腕。最速154キロの直球は誰もがうらやむ球威だが、「あれだけのストレートを持っているので、活躍できる素質はあるはず。後はストライクを入れるだけ。でも、頭がいいので考え過ぎてしまう」(江草氏)とメンタル面で弱さもあった。

 しかし昨季はファームで、優勝争いをする終盤に連勝し、成長をアピール。勢いそのままに今春キャンプは一軍で完走。休日返上で練習に励むなど開幕一軍入りへ目の色を変えて臨んでいる。

 開幕先発ローテが疲労する夏場、チームを救う救世主となれるか。

巨人・中川皓太 一級品の真っすぐ


一軍昇格予想時期! 開幕先発ローテーション


 悲願の先発ローテーション入りへ一歩ずつ前進している。チームのオープン戦初戦となるDeNA戦(那覇)の先発を任され5回73球を投げて2安打5奪三振無失点と好投。初回には筒香嘉智から3球三振を奪うなどテンポよくストライク先行の投球が光る。エース・菅野智之の後を受けて2番手で登板した3月3日のヤクルト戦(東京ドーム)では3回で2失点こそしたがまずまず。2年目の昨季までは主に中継ぎも、レギュラーシーズン最終戦でプロ初先発を経験。高橋由伸監督も「真っすぐに力があり良いものを持っている」と絶賛しており田口麗斗に次ぐ左の先発として期待は高まる一方だ。

中日・高松渡 球団一の俊足


一軍昇格予想時期! 順位争い決着後


 中日二軍キャンプ地の読谷平和の森球場。ドラフト3位ルーキーの姿を見たファンが「細いねえ」と驚きの声を挙げた。176センチ65キロの体格は高卒新人でも細身だが、それを補って余りある唯一無二の武器が。それは球団でもトップの俊足で、一塁到達タイムはプロ一流レベルの3秒53。2月17日の巨人との練習試合では特別ルールで2度代走で出場し、2度ともホームに生還してみせた。

 ベテランの荒木雅博はキャンプ中にキャッチボールの相手に指名するなど力を買っており、「面白い選手。足は速いしバッティングもいい」と高評価。一芸を生かし、一軍デビューをつかむ可能性は十分。

ヤクルト・塩見泰隆 イノシシ並みの俊足!


一軍昇格予想時期! 故障者が出そうな夏前


「走、守、攻の順で期待されていると思う」。入団当初に本人がそう語っていたように、50メートル走5秒9の脚力に絶対的な自信を持つ。帝京大時代にはグラウンド近くの山中で「イノシシを追いかけ回していた」という仰天エピソードも。だがフタを開けてみれば、最も自己評価の低かった打撃で猛アピールを続けている。

 3月7日の中日戦(アイビー)では先発の大野雄から“プロ第1号”を放ち、3回には左前打の後にすかさず二盗。前日の3安打2打点に続き、2戦連続で大暴れした。

 2月の練習試合ではプロの直球に力負けし、変化球に泳がされるシーンも見られた。それでも石井琢朗宮出隆自両打撃コーチとの話し合いで、タイミングを取る際に顔の前にあった手首の位置を右肩側に移す修正を施した。「ポイントを後ろにしたら、ボールが見えるようになった」と塩見。この効果は抜群で、オープン戦6戦を終えた7日時点で14打数7安打、打率.500と絶好調だ。

 これには小川淳司監督も目を丸くする。「うれしい誤算と言っては失礼だけど、正直、迷い始めた」。レギュラー争いは復帰した青木宣親バレンティン雄平坂口智隆が中心となるが、右打者はバレンティンのみと持ち味を発揮できそうな環境もある。代走要員と目されていた「背番号9」の新人が、“猪突猛進”でそこに割り込もうとしている。

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