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エースの100球の意味【川口和久のスクリューボール】

 

巨人・菅野の投球は上々。中5日で行くのか


陥りやすい悪循環


 今回は本誌が開幕号ということで、6月19日に開催されたすべてのオープニングゲームについて少しずつだが書いてみたい。

 まずパ・リーグのメットライフの西武日本ハム戦は、ニール有原航平の投げ合いになった。3回まで有原がストライク先行の完璧な投球をしたが、制球力がよく、立ち上がり好調な投手にありがちな傾向で、より際どいコースを狙い始める。結果的には西武の打者がそれを見極めたことでボール先行となり、甘いストライクを狙われる悪循環になった。来日2年目のニールは、年をまたいで12連勝。立ち上がりから適当に荒れながらも、徐々に乗っていくいつもの投球だった。

 PayPayドームのソフトバンクロッテ戦は、東浜巨石川歩で、こちらも投手戦。ソフトバンク打線にはデスパイネグラシアルがいないが、6年目の栗原陵矢がファーストのスタメンに入り、サヨナラ打。相変わらずの層の厚さを感じたが、ロッテというチームはなぜか、ソフトバンクと当たるときは別のチームのように自信たっぷりに見える。

 京セラドームのオリックス楽天戦は試合終盤に崩れたが、山岡泰輔則本昂大の先発は好投。則本昂のほうが余裕はあったかな。100の力じゃなく、打たせて取る勝つピッチングをしていた。鈴木大地の通算1000安打の2点タイムリーもあったが、復帰した主力と補強選手の活躍での勝利は勢いが出る。台風の目になりそうだね。

中継ぎは大丈夫か


 一方のセで最初に感じたのは、過密日程の中、なかなか雨では中止にならないなということ。横浜、神宮は大雨だったが、お客さんもいないし、何とか5回までやろうという雰囲気で始まった。実際、流れたら何連戦になるか分からないし、今後も同じだろう。

 東京ドームの巨人─阪神戦は菅野智之西勇輝の投げ合いとなったが、阪神打線は見逃し三振が多かった。以前、書いたが、菅野はフォームの変更によって、真っすぐの球の回転がきれいなタテ回転になってきた。結果的にスライダーも横曲がりからタテ曲がりとなり、阪神のバッターは最後までイメージがつかめなかったようだ。ただ、なぜか西勇がホームランと二塁打。野手ほど菅野の先入観がなかったからかな。投手に打たれるとリズムが崩れるものだが、さすが菅野。我慢のピッチングができていた。

 西勇は97球で交代し、代わった岩崎優吉川尚輝にホームランを打たれたが、あれは100回やって1本、出るかどうか。インコースの難しい球に腕をたたんで打った芸術的なホームランだ。投手は責められないだろう。

 神宮のヤクルト中日戦はグラウンドコンディションが最悪だった。40歳の石川雅規は頑張ったが、ヤクルトのリリーフ陣の若さが出たかな。

 同じく雨のDeNA広島戦は今永昇太大瀬良大地の投げ合い。今永の調子は今一つだったが、球威があったので甘い球を相手打者が打ち損じていた。練習試合で立ち上がりが悪かったので序盤から飛ばしたというが、その分、球数は増え、早々に交代となってしまった。

 今回の12人の開幕投手、つまりエースの起用は、ほぼ「100球」と決めていたようだが、唯一違ったのが、大瀬良。彼についてはWEBのコラムで詳しく書いたのでここでは割愛する。

 ただ、100球では7回がやっと。登板間隔を詰め、中5日の投手を増やすならありと思うが、過密日程だからと中6日にしつつ温存するなら疑問符だ。必ず中継ぎがパンクする。中6日ならエースだけでも完投をスタンダードにするか、負けゲームは負けゲームと割り切り、ロングリリーフの敗戦処理を置くか、かな。

 いずれにせよ、新しい2020スタイルが見えてくるのは、二巡目以降の戦いになりそうだ。

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