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“一打無敵”のご意見番が球界を斬る 張本勲の喝!!

張本勲コラム「引退を表明した巨人・上原の会見での涙は“いい涙”だった。一本気で純粋な性格は指導者になっても生きるだろう」

 

引退会見での上原の涙は“いい涙”だった


上原はプロ野球の歴史でもトップクラスのピッチャー


 先日、巨人上原浩治が現役引退を表明した。引退会見で涙を流していたが、あれは非常にいい涙だった。2番手、3番手のピッチャーだったら「何を泣いている」となるが、日本プロ野球の80年以上の歴史の中でもトップクラスのピッチャーが、野球人生をまっとうした末の涙だ。非常に一本気で、感情の激しい男だから、走馬灯のように過去の苦しかったときの思いがあふれ出し、涙となったのだろう。

 上原にはあらためて「ご苦労さん」と伝えたいが、私は上原の涙を見たときに、つい「男なら泣くなよ」とテレビ番組で口走ってしまった。言い訳をするつもりはないが、あれは本心ではない。私は、「男は人前で涙を見せてはいけない」という時代の人間で、現役のときは試合後、誰も見ていない帰りの車の中などで涙ぐむことはあっても、人前で涙を流すことはなかった。

 だが私と上原は違うし、あの涙には納得ができる。繰り返すが、上原の涙は素直に感情を表に出す彼らしい、本当にいい涙。“あっぱれ”の野球人生だった。

 彼の野球に対する純粋さは際立っていた。上原は試合中にも泣いたことがある。ルーキーイヤーだった1999年、中日のリーグ優勝が決まり、消化試合となっていた神宮でのヤクルトとの最終戦だ。松井秀喜(元巨人ほか)と本塁打王を争っていたペタジーニ(元ヤクルトほか)の打席で敬遠の指示が出た。勝負から逃げる悔しさは相当なものだったのだろう。上原は全力で敬遠のボールを4球投げ込み、あふれる涙をユニフォームの袖でぬぐっていた。

 ベンチからの指示は絶対だ。そこに逆らうわけにはいかない。だが、決して・・・

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