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“一打無敵”のご意見番が球界を斬る 張本勲の喝!!

張本勲コラム「右バッターとしては史上トップクラスの技術。落合博満のバッティングは誰もが見習うべきものだ」

 

バットを鞭のように扱うのは誰もができることではないが、右バッターであれば落合のステップとスタンスを見習ってほしい


二軍でくすぶっていた落合を引き上げる


 落合博満のバッティングを初めて見たのは彼のプロ2年目、私がロッテに移籍した1980年のことだった。プロ野球80年以上の歴史の中でも右バッターとしてはトップクラスの1人だが、このときからすでに才能の片りんを見せていた。

 当時の落合はまだ二軍でくすぶっていたが、その才能をいち早く見抜いていたのが高畠康真打撃コーチだ。「ファームにすごい選手がいるんです。一度、見てもらえませんか」と言うので、まだ二軍が練習している11時ころに川崎球場へ出向くと、確かに素晴らしいバッティングで打球がきれいに伸びていく。私は高畠に聞いた。「なぜ、こんなにいいバッターを一軍で使わないんだ」。すると高畠は、「監督が使わないんですよ」という。「よし、それなら私が言ってやる」となった。

 当時のロッテの監督は山内一弘さん。ロッテの前身である毎日・大毎での現役時代には首位打者と2度のホームラン王に輝いた大打者であり、内角打ちの名手でもあった。8歳年上ではあったが、私が東映時代はタイトル争いを繰り広げ、オールスターではクリーンアップを組み、打撃論もよく交わしていた。親しみを込めて「おじさん」と呼ばせてもらっていたくらいだ。

 山内さんは野球に対して本当に純粋な方だった。自分が生き残るために人を蹴落とそうだとか、誰かにお世辞を言って取り立ててもらおうだとか、そういったところが一切ないところも私は尊敬していた。だから当時は監督と選手という間柄だったが、ざっくらばらんに意見をぶつけることができた。

 山内さんが球場にやって来ると、私は「なんで落合を使わんのですか」と尋ねた。すると、「あかんあかん、あんなに・・・

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“一打無敵”のご意見番が球界を斬る 張本勲の喝!!

球界きってのご意見番として活躍する野球評論家の張本勲氏が週刊ベースボールで忖度なしの喝を発信。球界の未来を考えた提言を展開する。

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