限界と可能性と

　中日の根尾昂が野手から投手へ転向し、一軍のマウンドで投げている。いわゆるコンバートだが、立浪和義監督から今季は外野一本で勝負と言われながら遊撃への再転向を命じられ、そして今度は投手転向だ。これだけ短い期間にこれほどポジションを変えられるのは珍しく、しかもシーズン途中に野手から投手というのは異例中の異例だ。

　内部事情は分からないから何とも言いようがないが、それでも踏み切ったのには、それなりの考えや理由があってのことだろう。しかも根尾本人の希望というのなら、こちらがとやかく言う話ではない。

　そもそも私は、根尾の高校時代、中日に入団してきたときから「打者・根尾」よりも「投手・根尾」に魅力を感じていた。どちらでいくのかと思っていたところ、本人がプロでは遊撃で勝負したいということで野手になった。1年目の春季キャンプで実際に見たことがあるが、確かにボールへのコンタクトがうまく、打撃センスを感じた。ただ、野手としての体力という点では疑問符がついた。もちろんまだ高卒ルーキーだったから仕方がない面もあったが、遊撃の守備も投げミスが目立ち、時間がかかると思ったものだ。のちにイップスになったと聞き、それで外野に回ったのだろうと思っていた。

　体が小さくても若松勉(ヤクルト)や福本豊(阪急)のように活躍する選手はいる。しかし彼らには体に力があったし、プロの世界に徐々に慣れていく対応力があった。

　この3年、根尾にはチャンスが与えられてきたほうだと思うが・・・