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球の心は正直者

新井貴浩コラム 今週の感謝人 長内孝さん(元広島ほか)「“やらされた”練習ではありましたが、その後にすごくつながりました」

 

練習は本当にきつかったですが、長内さん[写真右]の愛情が私を選手としてひと回りもふた回りも大きくしてくれました[写真左は当時監督だった山本浩二さん]


きつかった1、2年目


 今回はまず、あらためてになりますが、連載のタイトル「球の心は正直者」について、書いておこうと思います。ご存じの方もたくさんいると思いますが、私の恩師、駒澤大・太田誠監督の言葉であり、駒澤の野球部にとって、とても大切な言葉です。私は、球を「物」ではなく「者」とし、さらにその「心」としているのも素晴らしいなと思います。

 昔よくお年寄りが言われた「お天道様はちゃんと見ている」という言葉にも通じるものです。誰も見ていないから悪いことをしてもいい、野球なら、監督や先輩がいないから練習で手を抜いていいというわけではありません。誰にも見られていなくても、言葉にしなかったとしても、すべては球に見透かされている、球の心は正直なんだ、という教えです。

 例えば、守っていて打球がイレギュラーしたとします。これをグラウンドのせいにしてはいけない。普段の生活が乱れていないか、自分に嘘をついていないか、心掛けが足りないのではないか、と、そのたび、自分自身に問いかけ、見つめ直しなさいと言われました。

 駒澤の4年間で、自然と、たとえ不運なことがあっても、他人のせいにするのではなく、自分を省みないといけないと思うようになりました。もともと両親から「弱い者いじめをするな」「嘘をつくな」「人様に迷惑を掛けるな」「友達を大事にしなさい」と口を酸っぱくして言われていたので、より心にスッと入ってきたのかもしれません。

 太田監督は、私の人生の恩師です。また回をあらため、じっくり話をさせていただければと思います。

 今回の“感謝人”は、ルーキー時代の二軍打撃コーチ、長内孝さんです。現役時代はパワフルで勝負強いバッティングをされる方で、私は入団して最初にお会いしたとき、「おお、長内じゃ。テレビで見たとおりの顔だな」と思いました。何度か説明していますが、これはもう、仕方ありません。私の中には「広島の新人・新井」と同時に・・・

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新井貴浩の球の心は正直者

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