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裏方が見たジャイアンツ

香坂英典コラム 第23回 松井秀喜との話 その3 松井は言った。「もう遊びは終わりです」と

 

1年目のオープン戦での松井秀喜。プロの壁に突き当たり三振の山を築いた


第三者的な目を持っていた


 今回も入団時のカントリーボーイ・松井秀喜に驚いたことを書いてみる。

 1993年、当時、僕は35歳………。

 今日も期待のルーキー・松井のインタビュー取材に隣で耳を傾けている。

聞き手「松井さんのコレクションは何ですか」

松井「腕時計集めです」

聞き手「いくつくらいお持ちですか」

松井「まだ、3個くらいです。これからはもっといろいろと集めたいです」

 松井はまだ高校(石川・星稜高)を卒業もしていないときから、比較的高そうな腕時計を持っていたのを覚えている。僕は正直に自分の意見を言った。「腕時計集め? なんかイメージじゃないなぁ、オジン臭くねぇ? あんまり格好良くねーなぁ」と。

 軽い気持ちで言ったのと、ちょっとスケールが小さいなと思ったので……。しかし、ゴジラの反応はなかった。

 あるときは、お金についての話もした。「お金は大事ですよね」と松井が言うので、なぜだと聞くと「将来のための貯蓄です」。

 確かに理屈としてはそうだ。しかし、このときも僕は正直に自分の意見を言った。「お前なら、金なんていくらだってたまっていくぞ」。

 これだけの素質があって、志を高く持ち、一心不乱に野球に打ち込めばいくらでも稼げるじゃないかという意味だった。あえてお金が大事、将来のためのものなんて言わないでほしい、そんなスケールの小さいことは言わないでほしい、松井はそんなことを期待させる男でもあった。

 僕はそういう松井に失望したくなかったし、とてつもない将来性を持っている松井がもう見えていた。ただ、驚いたのはこのあとのことだ。

 松井はどこで聞かれても、あれ以来、コレクションが腕時計集めなどとは一言も言わなくなった。読者の皆さん、松井の腕時計収集なんて話、聞いたことがありますか。そして「将来のための貯蓄」的な言葉どころか、お金に関する話も一切言わなくなった。

 インタビューのときは気を使って何か言わないといけないと思って・・・

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