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裏方が見たジャイアンツ

香坂英典コラム 第57回 巨人軍ファンサービス部誕生秘話(中編3)

 

東京ドーム前で盛り上がるSTAGE“G-KING”[2006年]。ここに至るまで、たくさんの障害があった


「やってる感」の有無?


 2005年に立ち上げた巨人軍ファンサービス部。そこでスタートさせた「ジャイアンツふれあいベースボールキャラバン」で予算の壁に翻弄された、というのが前回の話だった。

 ショックだったのは、マスコットキャラクターのジャビットの1回の稼働経費5万円が認められなかったことだ。家族で触れ合う企画であり、マスコットキャラクターとたわむれるのを楽しみにしている、お子さんたちには、ジャビットは不可欠な存在だ。下世話な話になるが、スピードガンコンテストや野球指導、選手の直筆色紙プレゼント企画はそれほどお金は掛からない。もれなく差し上げる粗品程度の記念品は在庫にある品を使用した。新しい持ち出しは極力なくすことを十分考慮しての企画だった。

 それでもジャビットを連れて行きたいという願いは何度となく会社に退けられた。追い打ちを掛けるように会社役員から命じられたのは「ジャビットの着ぐるみには誰か若い職員が入ればいいじゃないか」という言葉だった。

 愕然(がくぜん)とした。仮に職員が着ぐるみをまとい、数時間活動したとしよう。まずその中に入った者は冬などは良いが、夏季は想像を絶する暑さと発汗に見舞われる。体力的に自信がないと危険な事態になることも考えなくてはならない。そして、発汗による内部の衛生状態や匂いなどのケア、修繕、運搬も含めてすべてが大きな仕事である。やはりその仕事を請け負うプロの仕事の域がそこにあり、明らかに外部委託すべきものであることは言うまでもなかった。

 宮崎キャンプではNTT東日本の協力を得て、電話の光回線を使い、ファンの集まった遠隔地のイベント会場と球場を結ぶ選手生出演の中継、「プレーヤーズコール」や広い宮崎キャンプ地内のファンの移動手段として循環バスを走らせるファンサービスを実施したが、バスのラッピング(塗装)等には大きな予算が掛かった。このように表立って「やってる感」の感じられる施策には予算が出る。一方・・・

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