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裏方が見たジャイアンツ

香坂英典コラム 第72回 プロスカウトという仕事【2】

 

巨人松井秀喜も1年目は二軍生活を経験した。ただ、二軍選手は彼のようにアマ時代から名前を知られ、近い将来の一軍昇格が確実視される選手ばかりではない。より多くの逸材が日の目を見るため、プロスカウトの仕事がある


アマ手伝いは空振りばかり?


 2008年のシーズンから15年までの8年間、プロスカウトの仕事に就き、その後の3年間はファン事業部長、そして18年からは再びプロスカウトを命ぜられ、退職した20年いっぱいまで通算で12年間、プロスカウトを務めた。

「編成」と呼ばれるプロスカウトの仕事だが、一般的には「スカウト」というとアマチュア選手をドラフト会議で指名獲得するために調査活動している担当者のことを指して言うが、アマ担当とプロ担当と分類するときにその呼称は「アマスカウト」「プロスカウト」と分けて呼ぶ。「プロスカウト」は各球団、2〜3名が配置され、球団によっては関東と関西とに分けてそれぞれその地区に在住させているチームもあれば、複数の担当者が、日本全国どこへでも足を運んで選手を視察する形をとっているチームもある。

 球団によってはNPB選手視察だけでなく、国内の独立リーグ視察や海外担当の分野まで視察範囲を広げる球団のプロスカウトもおり、アメリカ、中南米、韓国、台湾など世界中の国へ出掛けて行くケースもある。まあ、これはそれぞれの球団の配置できる人員状況や方針によって異なっており、一人で何役をこなしているチームもあれば、それぞれキッチリと役割を決めているチームもある。

 ジャイアンツの場合はその後者にあたり、完全分業制でアマチュア、プロ、国際部とそれぞれ分かれていて、それほど頻繁ではなかったが、僕もプロスカウトがアマチュアや独立リーグ、国際部の分野をサポートすることもあった。しかし、僕がアマチュアサポート視察に行くときはなぜか雨による試合中止が多かった。春のセンバツ甲子園大会などは確か3日か4日、連続で雨による大会延期になった。

 それに現地に行ったのは良いが視察対象の選手が何らかの理由で出場しなかったというケースも少なくなかった。また急ではあったが海外視察もしかり。台湾、韓国での選手視察を命ぜられたが、このときはなんと自分のパスポートが切れていた。だから僕へのアマスカウト手伝い指令は「空振り」の思い出ばかりしかない(笑)。

 アマチュア選手を見ることは新鮮だったが・・・

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