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裏方が見たジャイアンツ

香坂英典コラム 第102回 全府中「NPBトリオ」山下浩宜編

 

今季で40歳となるが、まだまだ現役にこだわる山下[写真=筆者提供]


二岡の後釜としての期待


 日本野球連盟に所属する社会人野球のクラブチームはNPB(日本野球機構)に所属していた、いわゆる「元プロ」と言われる選手がNPB球団を退団後にクラブチームに移籍した場合、3人まで登録できるというルールがある(企業チームも同様)。そして、現在の全府中野球倶楽部(以下、全府中)にも3人の「元プロ」が所属している。

 全府中「NPBトリオ」のまず1人目は山下浩宜だ。山下は2000年のドラフト会議で6位指名を受け、九州は八幡西高(現・自由ケ丘高)から読売巨人軍に内野手として入団した。そのときのドラフト1位指名選手(逆指名)は僕の大学(中大)の後輩にもあたる阿部慎之助だった。山下は阿部と同期入団になるわけだが、あいにく山下の在籍していた01年からの3年間、僕は一軍の現場の広報担当者をしていたため、ほとんど接点がなく、山下には申し訳ないが、当時、僕は山下浩宜という選手が二軍にいたことを知らなかった。

 そこで山下が金の卵として期待されていた、そのころを知る人物に僕は尋ねた。山下が巨人二軍時代に巨人軍二軍内野守備走塁コーチを務めていた上田和明だ。上田は僕が巨人在籍時にプロスカウトの部署で同じ仕事をした間柄で、現在はジャイアンツアカデミー副校長を務めている。現役時代の守備力には定評があり、上田は大事な戦力のピースとして活躍した。そして上田は二軍の守備部門の担当者として山下を導いた。

「僕の記憶ではバッティングが良かった選手という印象が残っています。中距離ヒッタータイプでした。真面目な性格で、足もあり、鍛えがいのある選手という感じがしました。だから、守備がうまくなってもらいたいというのが僕の気持ちだったし、そんな思いで毎日毎日ノックを打っていたのを覚えていますよ」

 山下は183cm、74kgの体格で、まさに大型ショートとしての期待があり、当時一軍のレギュラーだった二岡智宏の後釜としての期待は大きかった。二岡と言えば入団時から不動のショートストップ、パンチ力もあり、広角に打て、強肩で守備範囲も広く、足も速いというバランスの取れた能力で完成された即戦力だった。僕もプロスカウト時代に多くのショートを見てきたが・・・

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