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裏方が見たジャイアンツ

香坂英典コラム 第110回 巨人軍・長嶋茂雄監督の両隣にいた「助さん格さん」【2】

 

東京ドームのベンチで戦況を見つめる中にある所サブマネジャーの姿[左から須藤豊コーチ、所サブマネジャー、中畑清コーチ、長嶋監督、長嶋一茂。写真=BBM]


巨人軍在籍53年目


 前回は時代劇ドラマ『水戸黄門』の助さん格さんのように、長嶋茂雄監督の両隣をいつも固めていた2人のうち、監督付広報を務めていた小俣進さんを紹介したが、もう一人は巨人軍一軍サブマネジャーだった所憲佐さんだ。所さんは小俣さんと同い歳の今年71歳。1969年のドラフト会議で巨人軍からドラフト13位指名を受け、兵庫県の市川高から強肩、強打の高校生捕手として入団した。「金の卵」として期待は大きかったが、不運にもケガにさいなまれ、11年で現役生活にピリオドを打った。引退後、巨人軍のブルペン捕手となり、裏方人生が始まる。

 僕も投手としてブルペンで何度も所さんにボールを受けてもらった。それにしても所さんのキャッチングは素晴らしいものだった。僕が入団したころのエースは江川卓さんだった。“怪物”が投げ込むストレートやどんなボールも、まったく微動だしない「名人芸」とも言える技術で、ピタっとキャッチャーミットの芯に収める。ミットからはじき出される何とも言えない「パチーン」という小気味よい音は、今でも僕の耳に焼き付いている。

 所さんは誰よりも元気のある大きな声を出しながらブルペン内の雰囲気を変える。投手の気持ちを乗せていくのが、また絶妙にうまかった。僕も所さんの「マジック」に乗せられて、必死に腕を振ったのを覚えている。

 所さんは現在も長嶋終身名誉監督付として名誉監督の日常や、公な場所に足を運ぶときなども必ずアテンドしている。名誉監督がメディアに露出される映像や写真にその姿が見え隠れすることがあるが、白髪で黒縁の眼鏡を掛けている方が所さんだ。つまり、所さんは今も巨人軍総務人事部に所属する職員であり、その在籍年数は今年53年目にのぼる。僕が在籍40年だったので、いささかレベルが違うのである(笑)。

約3000試合のベンチ入り


 所さんは監督だった長嶋さんが2001年限りでユニフォームを脱がれたあとは・・・

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