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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「アジャストとは異なるメジャーでの進化」

 

自らのボールに手応えを感じているという菊池雄星[写真=GettyImages]


 四半世紀前に野茂英雄が、そして20年前にイチローがメジャーへ挑んだとき――日本を代表するピッチャーとフィールドプレーヤーは、それぞれの武器を携えて未知なる世界で戦おうとした。メジャーの野球にどこまで自分のスタイルが通用するのか。野茂はストレートとフォークで三振を奪うことにこだわり、イチローはヒットを打ってスキのない走りを見せ、卓越した守りで敵を圧倒することにこだわって、ともにメジャーで十分過ぎる存在感を発揮した。

 しかし、いつしかメジャーへ挑む日本人選手の多くは、自らの武器で勝負するよりもメジャーの野球にアジャストすることを優先させるようになった。メジャーの野球は日本の野球とは違うからと、ピッチャーなら例えばボールを動かし、バッターならチームのためにとホームランを捨てる。それは野茂やイチローの時代と違って、日本人選手がメジャーの球団と高額な契約を交わすようになった分、数字で結果を残す責任が生じるようになった流れも無視できない。ある意味、やむを得ないアプローチだとも言えるのだが、観る側からすれば正直、物足りないという気持ちも拭(ぬぐ)えなかった。

 そんな中・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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