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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「マスターズ中継で蘇ったアメリカ人親子の姿」

 

ONに次ぐ史上2番目となる86回のアベックホームランをマークした山本[左]と衣笠


 西日が照りつけるオーガスタの18番ホール。松山英樹はウイニングパットをタップインさせた。その瞬間、日本人初のマスターズ制覇を成し遂げた松山は、彼を支えてきたスタッフ一人ひとりと抱き合った。その中にボブさんがいた。

 ボブ・ターナーさんは長年、松山の通訳であり、アメリカでのマネジャーを務めてきた。ボブさんの息子、アラン・ターナーさんはマリナーズでインストラクターの役割を担うイチローの通訳を今でも務めている。そんなボブさんとアランさんの話を、じつはこのコラムで以前に綴(つづ)ったことがある。当時はボブさんのことを「アメリカ人の父」、アランさんのことを「息子」と書いた。なぜならそのコラムは、通訳としての話でもイチローや松山の話でもなく、日本で暮らすアメリカ人の親子が味わった、野球にまつわるあるエピソードを綴っただけの一篇だったからだ。以下、その一部を抜粋する。

 1986年10月27日は月曜日だった。平日は学校がある。しかし、彼の父(アメリカ人)は当たり前のようにこう言った。

「明日は学校を休みなさい」

 そして翌朝、父は学校へ電話をかける(日本語はペラペラ)。

「今日、息子は休ませます」

 すると先生が・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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