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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「バルーンを割れなかった最終年のホームラン王」

 

大打者であるからこそ、引き際は難しかった


 868――。

 この数字を目にすれば、多くの野球好きが王貞治の通算ホームラン数を連想するだろう。王が868本目のホームランを打ったのは今から41年前、1980年10月12日のことだった。後楽園球場で行われたスワローズとの一戦。0対0の6回、ツーアウト三塁の場面で王は神部年男が投じた3球目をライトスタンドへ打ち返す。これがこのシーズンの30号となって、王は19年連続30本塁打以上を記録した。そのとき、このホームランが公式戦で放つ王の現役最後の一発になるなんて、誰も想像もしていなかったに違いない。王は当時をこう語っている。

「僕もあのホームランが最後になるとは思わなかったよ。というのも、あのときは自分の中にいい感触が戻ってきて、まだやるぞ、という気持ちがあったからね。肉体的には最後まで無理だと思ったことはなかったし、僕は43歳までは絶対にできると思っていた。あの年も7月までは辞めるなんて思ってなかったし、8月に入ってからだったかな、初めて・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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